記者
ライター山村 咲木
2022/03/27
「かっこいい!」「イケメン」「男前」「美男子」など、魅力的な男性をあらわす言葉って、世の中にたくさんありますよね。
その中でも今回注目したいのが「二枚目」。
「二枚目俳優」なんて言葉を、テレビなどでよく耳にします。なぜ「二枚目」は、かっこいい男性を指す言葉となったのでしょうか?そのルーツを辿ってみましょう!
遡ること、江戸時代。歌舞伎の中の役柄のひとつを「二枚目」と呼んだことがはじまりです。「二枚目」とは、歌舞伎に登場する色男役のことをいいます。男女の恋愛を演じる、いわば色恋沙汰を担当する役者。
歌舞伎の役者絵
「二枚目」を担当する役者は、当時から容姿端麗で若く美しい男性ばかりだったのだとか……。今で言うイケメン俳優が、二枚目役を演じていたのですね。
しかし、なぜ一枚目ではなく二枚目なの?一体何枚目まであるの?など、さまざまな疑問を持つ人も多いはず。
「一枚目」は、主役のことをいいます。そして「三枚目」は、滑稽なお調子者で、お笑い担当のような存在。「三枚目」は、今でも日常で使われることが多いですよね。お笑い芸人さんや面白い人に対して使うイメージです。
実はこの役柄、「八枚目」まで続くのです。芝居小屋では、新しくお披露目される一座の役者8人の看板が並べられたのだとか。それをまとめて「八枚看板」といい、一〜八枚目までそれぞれ異なる役割が割り振られています。
・一枚目 主役、物語の主人公
・二枚目 色事を担当する役、色男
・三枚目 滑稽な役、お調子者で物語を盛り上げる
・四枚目 物語の中軸を担当する、まとめ役
・五枚目 敵役、主人公のライバル
・六枚目 敵役だが、憎めない善良な役
・七枚目 物語の大敵、いわゆるラスボス
・八枚目 元締め、座長
それぞれの役柄を見ると、現代のドラマや劇にも通じるものがありますよね。敵役ひとつにしてもさまざまな種類の役柄があることに驚き!各々の役割は、役者たちにとってステータスでもありました。
この役割を理解した上で、歌舞伎をはじめ演劇や映画、ドラマなどを見ると、また違った楽しみ方をすることができそう!
博物館明治村の「呉服座」では、当時の芝居小屋の雰囲気を味わうことができるんです!
江戸時代から続く伝統的な木造二階建てで、軒下に連なる提灯と絵看板が劇場らしさを演出しています。役者の名前が入ったのぼりも、本格的ですよね!
中に入ると、当時のままの舞台に花道、そして客席として平土間(桝席)と両側には桟敷が設けられている客席。
舞台の中央にあるのは、人力のまわり舞台や両側にある囃子(はやし)部屋など、たくさんの舞台仕掛けがあり、見どころいっぱいでわくわくします!
舞台の下にいくと、石で造られた奈落が!ここでは、まわり舞台の下がどうなっているのか、見学することができます。
奈落から花道を伝う通路は、圧巻。ここを劇中に役者さんたちが走り抜けていたのかと思うと、なんだか鳥肌がたちますね。こうやって、当時から使われていた舞台道具や仕掛けを、実際に目で見て体感できるのは、博物館明治村ならではの醍醐味。
※奈落や花道下の通路などは、建物ガイドご参加の方のみご案内しています。
明治時代から、歌舞伎や芝居、漫才に落語、政治演説の舞台などとして、たくさん使用された「呉服座」。ここで、二枚目俳優をはじめとした多くの役者たちが舞台に上がり観客を楽しませていたのです。
「呉服座」でしか味わうことのできない、歌舞伎の裏側をぜひ堪能してみてください!「二枚目」な役者さんの看板に出会えるかも?!
▼インフォメーション
呉服座
https://www.meijimura.com/sight/%E5%91%89%E6%9C%8D%E5%BA%A7/
記者
ライター山村 咲木
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