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明治時代のおもちゃに迫る!姫路市にある「日本玩具博物館」へ行ってきました。

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2022/10/25

明治時代のおもちゃに迫る!姫路市にある「日本玩具博物館」へ行ってきました。

メイジノオト編集部

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メイジノオト編集部

誰もが幼い頃から親しんできた「おもちゃ」は古い歴史をもち、紀元前の昔から世界中で子どもたちに遊ばれてきました。おもちゃは小さなものでありながら、色や形、材料、テーマなどにも時代や地域色が色濃く反映されており、当時に触れることができるものの一つです。

そこで今回メイジノオトでは、明治時代のおもちゃについて迫るべく、姫路市にある私設博物館「日本玩具博物館」へ行ってきました。

日本玩具博物館とは?


日本玩具博物館があるのは、兵庫県姫路市。姫路城の北東約10㎞の田園地帯にあります。


館長の井上重義さん。約60年かけて収集されたコレクションの規模・内容のユニークさから日本を代表する玩具博物館として世界に知られています。

「日本玩具博物館」は、会社員だった現館長・井上重義氏が1974年に設立した私立博物館です。現在では、日本各地の郷土玩具、明治以降の近代玩具、節句を中心とした日本の伝統人形、伝統手芸であるちりめん細工、そして世界160の国と地域の玩具資料、約9万点を所蔵しています。

施設は、1号館から6号館まであり、だるまやこけしといった伝統的なものから、現代のおもちゃまで、幅広く展示されています。

木製玩具で遊べるコーナーや、海外のおもちゃが手に入るミュージアムショップも人気です。また、常設展のほかに、季節ごとに企画展も開催されています。

明治時代のおもちゃ(2号館で展示)

急速な近代化を進めた明治時代では、工場生産された近代玩具が日本中に流通しはじめる、おもちゃの20世紀の幕開けでもありました。

明治の中頃までは、子どもたちの遊びやおもちゃにも、江戸時代の伝統的な遊び文化が息づいていましたが、20世紀に入ると近代化を推し進めるとともに、おもちゃも舶来玩具に影響され、ブリキやセルロイドなどの近代的でハイカラなおもちゃが出回りはじめました。

また、明治中期の国語統一によって、話し言葉としての「おもちゃ」が、書き言葉としての「玩具」に統一されたのもこの時代です。


教育女子置き飾り絵

明治時代は幼児教育の大切さが説かれ、「教育の道具」としてのおもちゃが登場。例えば、コマや羽子板は、筋力を訓練する道具、おはじきは器用さと集中力を養う道具と位置付けられていたのだそう。

多くのおもちゃに、”教育”と文字の入ったおもちゃが盛んに製作されました。


教育動物園玩具

切り抜いた紙を立て、風景を形づくる遊び。上の写真は、明治時代の動物園の様子を映しています。

女の子なら一度は遊んだことのある、着せ替え人形遊び。明治時代は、衣服の着せ替えではなく日本髪のかつらを着せ替えて遊ぶ、着せ替え人形セットが登場し、人気を博しました。


陶器の金魚

夏の風物詩のひとつとして古くから愛されてきた金魚もおもちゃのモチーフになっています。江戸時代から親しまれていた「陶器の浮き金魚」。お風呂に浮かせて遊ぶ「浮きもの玩具」もこの頃から健在です!


こちらの写真は、ブリキ製の金魚で昭和20年代から30年代にかけて生産されたもの。

明治後期になると、外国から輸入されたブリキやゴム製玩具をまねて工場生産がスタート。陶器の金魚がヒントとなって、ブリキの金魚が誕生したのは、明治末期のことと言われています。

当初は、海外のおもちゃを模倣した製品からはじまり、次第に精巧なオリジナルの製品が作られるようになりました。

明治20年代には、土製の「泥メンコ」を経て「紙メンコ」が登場。日露戦争前後を頂点として盛んに遊ばれました。当時の絵柄は軍人と武者絵が代表的 なアイコンだったそう。

明治30年代には鉄の「輪回し」が流行。竹や金属などでできた大きな輪を、棒をあてがいながら転がしてゆく遊びです。

郷土玩具の産地でも新時代の風俗が題材として人気を博すように。写真の「宇土の馬乗り鎮台」は、かつて九州地方に置かれた日本陸軍の部隊。鎮台兵は子どもたちの憧れの存在でもありました。

明治のころ、神戸で外国人向けのおみやげとして売られていた「神戸人形」。明治中頃発祥とされる木製のからくり人形です。お化けをかたどっていたので「お化け人形」ともよばれていました。

台の上の人形が手を動かしたり、首をふったり、大きな口をあけて西瓜を食べたり、酒を飲んだり……神戸っ子だけでなく、神戸を訪れる外国人観光客の人気をさらいました。

もともとは、木肌を活かしたものでしたが、外国人に人気だった日本特産の漆器をイメージして黒く塗られるようになりました。

日本玩具博物館では、明治から現代までの貴重な神戸人形が400点も所蔵され、約100点が展示されています。

明治時代は、ブリキやゴム、セルロイドなどの新素材やゼンマイという新動力を使った玩具が登場するなど、おもちゃが一気に近代化へと進んだ時代でもありました。

こうして、おもちゃに触れると、いかにおもちゃが世相を反映しているのかがよくわかります。

展示で知って学ぶ、おもちゃ文化

日本玩具博物館では、この他にも国内外のおもちゃの歴史を幅広く広く紹介しています。ここからは展示室の様子をピックアップしてご紹介していきます。

6棟の建物からなる日本玩具博物館では、2・3・4号館で常設展、1・6号館で、所蔵品による企画展を開催。館長が自ら収集したコレクションをはじめ、世界中から寄贈されたコレクションが展示されています。

常設展「日本の近代玩具のあゆみ・Ⅱ~昭和・平成~」(1号館)

こちらでは昭和後期から平成を彩ったおもちゃが展示されています。子どもたちの世界にテレビが大きな影響を与えた昭和40年代以降、テレビのヒーローやキャラクター玩具が主流となり、昭和50〜60年代には、テレビ、漫画に加えてテレビゲームが登場。中高生や大学生にもマスコミ玩具の世界が広がりはじめます。

思わず、「懐かしい~」と言ってしまうような懐かしのおもちゃが展示されています。

常設展「日本の近代玩具のあゆみ・Ⅰ~明治・大正・昭和〜」(2号館)

こちらでは、駄菓子屋で売られていたおもちゃや、玩具店で売られたブリキやセルロイドのおもちゃと人形、キャラクターのおもちゃなどを展示。

近代玩具の変遷を通して、明治・大正・昭和30年代までを振り返っています。時代の移り変わりと子どもにとってのおもちゃの役割を探っていきます。

常設展・小コーナー 「草花遊びの世界」(2号館)

かつて子どもたちは、身の周りにある自然物を利用して即席の玩具をつくりだしていました。こちらの展示では、自然との触れ合いを通して誕生し、伝承された「草花遊び」の玩具を紹介しています。

江戸時代から明治期にかけて発展した「ちりめん細工」(3号館)

日本玩具博物館では、江戸時代から明治期にかけて裕福な階層の女性たちの手でつくられ、昭和になると姿を消した「ちりめん細工」の古作品や文献資料の収集にも力を入れています。

また博物館活動の一環として、ちりめん細工の展示会や講習会を開催。江戸時代から明治・大正時代にかけての古作品約500点と、当館の復興活動を通して今によみがえった平成のちりめん細工約1000点を収蔵し、3号館でびん細工や糸まりとともに展示しています。

世界の郷土品に出会える!(4号館)

三次人形(広島県三次市)

明治時代からつくられ、昭和初期まで雛まつりに飾られていた土人形

ほかにも、日本の郷土玩具を紹介するコーナーやアジア・オセアニア・アフリカ・南北アメリカと、地域ごとの玩具を紹介するコーナーなど、多岐に渡って紹介されています。

丸一日滞在される方も多いというのも納得です。

子どもたちが実際に遊べるコーナーも!

館内には、手に取っておもちゃで遊べるスペースがあり、子どもたちに大人気!コマやだるま落とし、けん玉、お手玉など伝統的なおもちゃから、ヨーロッパの木製玩具で自由に遊べます。

ミュージアムショップで
懐かしの玩具を手に入れよう!

ミュージアムショップでは、郷土玩具、駄菓子屋玩具をはじめ、アジア、ヨーロッパ、中南米など、世界各地でつくられた玩具や人形などもそろっています。

復刻された貴重な神戸人形もありますよ!

今回は明治時代のおもちゃにフォーカスしてご紹介しました。ぜひ日本玩具博物館へ足を運んでみてくださいね。

アクセス方法


館の前にある駐車場

<電車でお越しの場合>
JR姫路駅発、播但線「香呂」駅下車徒歩15分
(タクシーで5分)

 

<車でお越しの場合>
播但有料道路「船津」ICより西へ約5分。
中国自動車道「福崎」ICより南へ約15分。

 

<駐車場>
当博物館前に無料駐車場がございます(約30台)
大型バスも駐車可能です

 

INFORMATION

日本玩具博物館

所在地

兵庫県姫路市香寺町中仁野671-3

営業時間

10時~17時

定休日

水曜日、年末年始(12月28日~1月3日)※祝日の場合は水曜開館

電話番号

079-232-4388

公式サイトURL

https://japan-toy-museum.org/

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メイジノオト編集部

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