記者
ライターいずのうみ
2023/10/20
江戸幕府が終わり、文明開化によって近代化がはじまった明治時代。積極的に西洋文化を取り入れることで人々の生活や街並みが大きく代わりました。さらに大衆文化が発展した大正時代は、大正デモクラシーや第一次世界大戦、関東大震災などが起こり激動の時代だったとされています。
明治・大正時代を舞台にしたマンガは、当時の文化や風習、できごとが作品に描かれており、現代と異なる様相のドラマ・ストーリーにハマってしまう人も少なくありません。
子どもから大人まで夢中になった名作『るろうに剣心』『鬼滅の刃』も、明治・大正時代を背景にしています。
この記事では、明治・大正時代が舞台になっているおすすめのマンガをご紹介します。
舞台は明治43年(1910年)の東京。裕福な家庭の有馬家で女中として働くことになった津村花は、有馬家の若き当主・光亨と出会います。二人は身分の差がありながらも徐々に惹かれ合うものの、思わぬ壁が二人の間に立ちふさがり……。明治時代だからこその切なさがいっぱいで、二人の運命に涙する人も多い作品です。
全2巻なので気軽に読み始められるのもおすすめポイント。
(C)みよしふるまち/マッグガーデン
文明開化に揺れる明治8年(1875年)、横浜の貿易商「叶屋」の娘マリコと、そこに仕える卯野(うの)。同い年の二人は11歳のときに出会います。わがままで天真爛漫なマリコと、田舎育ちで孤児となった卯野が、それぞれ厳しい現実と向き合いながら本当の愛を手に入れるまでの青春を描いた大河ロマンです。
当時の横浜の青く広がる海、ハイカラな風物、異人さんなど新しいものばかりで胸が高鳴る卯野の様子にも、明治時代らしさが描かれています。
大正時代を舞台とし、映画化・ドラマ化された『はいからさんが通る』も同作者の人気作品。ヨコハマ物語も舞台化・ドラマ化を熱望する声が多く上がっています。
舞台は明治時代中期の東京。呉服屋の主人である藤島津軽は、遊郭に売り払われた没落華族童女・桐院鈴子と出会います。津軽は鈴子を身請けし、便利屋のような仕事「さがしもの屋」をするなかで絆を深めていく二人。その過程で、鈴子が遊郭へ売られることになった原因が、次第に明かされていきます。年の差恋愛を描いた「ラブストーリー」と、桐院家の過去を探る「サスペンス」と2つの側面を持つ作品です。
明治緋色綺譚のシリーズ続編『明治メランコリア』では、成長して大人に近づいた鈴子と、津軽の恋模様が描かれています。
時は明治時代初期。幕末に「人斬り抜刀斎」として恐れられた伝説の剣客・緋村剣心は、明治維新後は「不殺(ころさず)」を誓い流浪人となりました。ある日「神谷活心流」剣術道場にたどり着き、師範代の少女・神谷薫や元士族の少年・明神弥彦、喧嘩屋の相楽左之助らとともに平穏に暮らしはじめます。
本編は「東京編」「京都編」「人誅編」に分かれ、同じ激動の時代を生き抜いた宿敵たちと命をかけた戦いを通じて、贖罪の答えと新たな時代での生き方を模索していく様子が描かれています。激しいバトルシーンも多く、九頭龍閃 (くずりゅうせん)や二重の極み、牙突(がとつ)などの必殺技を真似して遊んだ人も多いのでは。
オリジナルのストーリーの中には赤報隊や新選組、大久保利通暗殺事件など、史実や実在人物も絡められています。
1994年の連載開始以降、「るろ剣」の略称で現在も愛され続ける名作です。2017年から続編「北海道編」を連載、2023年7月からは2度めのアニメ化がされ大きな注目を集めています。
現代の日本に暮らす元気な女子高生・片桐陽菜はある日突然、明治40年にタイムスリップしてしまいます。そこで出会ったのは、御曹司・本郷と、自分とそっくりな少女・雛子。陽菜はダメだと分かりながらも本郷に惹かれていってしまう……。本郷と陽菜の恋模様を描いた、切ないタイムスリップ・ロマンス。
明治時代の世界観やキュンとするマンガが好きな人におすすめです。
明治から大正時代にかけて、老舗呉服店「三つ星」の三男・星乃虎三郎と謎の男・鷹頭が、因習に縛られ経営が傾いた呉服店を建て直していくストーリー。作中には、日本橋の百貨店「三越」をモデルにしたライバル店も登場しており、西洋文化が混じりはじめた途上の街で、呉服店が業態を変えながら百貨店へと変貌を遂げていく様子が描かれています。当時の時代背景にリアリティがあり、歴史を学べる部分も多い作品です。
ヒューマンドラマだけでなく、女性の働き方、恋愛、歴史の要素も絡み合い、テンポよく進んでいくストーリー展開に一気読みする人も続出。美しく描かれている着物や建築物にも注目です。
時は西洋文化が花開く、大正時代。女学生のみどりは、身ごもりながら亡くなった親友の恋人を探すため、華族の家に家庭教師として下宿しはじめます。慣れない生活に翻弄されながらも、親友の遺品の万年筆を手がかりに、ついに親友の恋人にたどり着いたみどりだが……。
時代背景もわかりやすく描かれており、華やかな大正ロマン作品です。
舞台は大正初期の名古屋。12歳の姫子と30歳の文治の関係は、なんと許嫁!「文治さま」「許婚殿」と呼び合う二人が、18の歳の差を超えゆっくりと愛を育んでいく純愛ストーリーです。大正時代の生活や文化を鮮やかに描きながら帝国陸軍の少佐・文治と良家の令嬢・姫子が許嫁になった経緯に迫っていきます。
広小路通りや名古屋城、両口屋のお菓子など名古屋らしい要素があちこちに登場しているのも魅力です。
週刊少年ジャンプの連載中から人気を博し、アニメ化もされた『鬼滅の刃』は、大正時代前期が舞台になっています。
小さいときに父を亡くし、家族を支えるために炭を売っていた主人公の炭治郎。ある日、家族を鬼に殺され、唯一生き残った妹の禰豆子(ねづこ)は鬼に変貌してしまいました。炭治郎は、妹を人間に戻し家族を殺した鬼を討つために鬼殺隊に入隊。
我妻善逸(あがつまぜんいつ)や嘴平伊之助(はしびらいのすけ)、鬼殺隊の最高戦力である「柱」のメンバーらとともに、鬼たちの祖である鬼舞辻󠄀無惨(きぶつじむざん)へ近づくために奔走します。
2021年時点でコミックスの累計発行部数が1億5,000万部を突破し、子どもから大人まで夢中になれる作品です。
時は大正9年、日本橋にある新聞社の一人娘・千華羅(チカラ)は、新聞記者を夢見る女子学生。ある日、父から実の子ではないと真実を告げられ、勝手に決められた許嫁の風間央を紹介されます。千華羅は友人の兄・武藤達道のことが気になっていたのですが……。
女性の社会進出を阻む苦難や関東大震災の混乱を乗り越え、仕事や恋に奮闘する力強い女性が描かれています。
明治・大正時代が好きな人だけでなく、誰でも楽しめるマンガをご紹介しました。ストーリーがおもしろいのはもちろん、歴史に詳しくなくても、時代背景や歴史のできごとなどが分かりやすく描かれていますよ。
書籍だけでなく、スマホやタブレットでも読めるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
記者
ライターいずのうみ
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