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明治時代のグルメ小説『食道楽』のレシピを再現! さわやかなジュレ「林檎の淡雪」

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2022/09/05

明治時代のグルメ小説『食道楽』のレシピを再現! さわやかなジュレ「林檎の淡雪」

山村 咲木

記者

ライター山村 咲木

文明開化によって、日本の食が大きく変化した明治時代。
一般の家庭にも西洋料理が浸透し、洋食文化が世の中に広まっていきました。

「洋食」とは、西洋料理を日本独自にアレンジした料理のこと。
当時の日本では、西洋料理に必要なすべての材料を揃えることは困難でした。
そのため、米などの代用品を用いて日本風にまた日本人が食べやすいようにアレンジした「洋食」が誕生したのです。

今回は、前回ご紹介した「シチュウ」(https://www.meijimura.com/meiji-note/post/336/ )に続き、明治のグルメ小説『食道楽(上)』に登場するスイーツのレシピをご紹介!

村井弦斎作の小説『食道楽』は、明治時代のレシピ本といわれているグルメ小説。
この小説の物語は、春・夏・秋・冬の4部で構成されており、和洋中問わず数多くの料理や食に関する豆知識などが登場します。

今回ご紹介するのは、『食道楽(上)春の巻 第14 廃物利用』の中で登場する「林檎(りんご)の淡雪(あわゆき)」。
とてもシンプルな明治らしいスイーツです。

ではさっそく、調理をはじめていきましょう!

【材料(3〜4人分)】

りんご:3個
レモン:¼個
砂糖 :約20g
ゼラチン:約5g

材料はいたってシンプル。

「林檎の淡雪」というネーミングだけでは、どのような料理ができるのか想像しにくいですよね。
『食道楽』には写真や絵の掲載がないため、つくってみてのお楽しみなのもおもしろいポイント!

まずはじめに、りんごの皮をむいていきます。今回はりんご2.5個を使用しました。
残りのりんごは、トッピング用に取っておきます。

包丁での皮むきが苦手な方は、ピーラーを使うと無駄なくサクサクっと素早くむけます。

あっという間に、皮がなくなりました!お次は、皮をむいたりんごを小さくカットしていきます。

りんごの芯もしっかり切り落として……。


このように、一口サイズに切りそろえます。

今回は2〜3cmほどの大きさにカットしましたが、もう少し細かい1cmくらいの角切りにするのがおすすめ!
小さい方がこの後の作業がより楽になります。

カットしたりんごたちを深めの鍋へ投入!

『食道楽』のレシピでは、ここに「砂糖を少し入れる」と記載があります。
今回は、砂糖約20gを加えてみました。
りんご本来の甘さも十分あるので、お好みで量を調整してくださいね。

ここがポイント!まず最初は、蛍のようなトロ火(弱火よりも小さい火力)でりんごをあたためます。
すると、次第にりんごからたくさん水分がでてくるので、それまでゆっくり待ちましょう!

「林檎の淡雪」は水を一切使わない、いわば無水調理。
水気が少しでもまざると、傷みやすくなってしまうのだとか。
じっくりとあたためることで、りんごのおいしいエキスが抽出されます。

10分ほど経過すると、じわりとりんごから水分が!

こんな感じで、かなりりんごから水分がでてきました。

ここからは段々と火を強くしていき、りんごがやわらかくなるまで煮ていきます。

りんごの水分が蒸発してしまう恐れがあるので、弱火〜中火くらいでフタをして煮ていくのがおすすめ。

焦げないようかき混ぜながら、コトコトと煮ていきます。

煮だしてから、約10分ほど。
そろそろかな?と思ったら、竹串でりんごのやわらかさを確認。
竹串がスッと通るくらいにやわらかくなったら、火を止めます。

次は、煮込んでクタクタになったりんごをこし器を使って裏ごししていきます。
このとき、りんごから出た汁も捨てずに一緒に裏ごししましょう!

へらを使って、りんごをつぶすように裏ごししていきます。

ここでりんごのサイズが大きかったり固いままだと、かなり力がいるので大変です!
今回はりんごを少し大きめにカットしてしまったので、時間と労力がかかりました……。

裏ごしを終えたりんごがこちら。
すりおろしたりんごよりも細かく、繊維のないなめらかな仕上がり。

次に、ゼラチン5gを約50mlのお湯によく溶かします。

ゼラチンは明治維新の開国によってヨーロッパから日本に入ってきた材料のひとつ。

『食道楽』では、ゼラチンを西洋の食用膠(にかわ)と呼んでいます。
食品屋に行けばどこでも手に入ると記載されており、明治時代の家庭にはすでにゼラチンが浸透していたことがわかりますね。

お湯に溶かしたゼラチンを裏ごししたりんごへいれ、よくかき混ぜます。

お好みでレモンの果汁を少しいれるとさっぱりとして、よいアクセントに。

『食道楽』によると、レモンの他に杏(あんず)の汁をいれてもおいしくなるのだとか。

混ぜ終わったら、器に取り分けていきます。

りんご2.5個分で、小さめの器3つにぴったりの量。
たくさんあったりんごも熱を加え裏ごしするとかなりかさが減りました。

器に取り分けたら、器ごと水に浸して冷やします。
寒いときだと1時間ほどで固まるのだとか。

夏の暑い時期につくりましたが、水の中に氷を入れるとみるみるうちに固まりました。
文明の利器に頼って冷蔵庫で冷やすのもありですね!

ついに「林檎の淡雪」が完成!
残ったりんごを薄くカットしてトッピングしてみました。

見た目にも美しい、食後のお口直しにぴったりの爽やかなデザートです。

裏ごししたりんごは、ふわふわとしていて口の中でとろけます。
ゼリーのような、りんごジャムのような……。雪解けに似た食感は、まさしく「淡雪」のよう。

おやつはもちろん、食後のデザートにももってこいの明治レシピでつくる「林檎の淡雪」。
ぜひみなさんも試してみてはいかがでしょうか?

INFORMATION

Writer

山村 咲木

記者

ライター山村 咲木

愛知県・名古屋市出身。大学ではメディアプロデュースコースを専攻し、広告やデザインについて学びました。卒業後は一般企業に就職。その傍らで、ライターとして活動中。おいしいものに目がなく、グルメな記事を中心に執筆活動を行なっています。趣味は、イラストを描くこと、喫茶店巡りをすること、映画・ドラマ鑑賞、フラワーアレンジメントなど。料理をすることも好きで、休日には手料理を家族や友人に振る舞っています。