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文明開化がカギ!カレーライスにとんかつ、コロッケ。明治時代に誕生した洋食の魅力

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グルメ 明治時代の文化 明治村ガイド

2023/08/07

文明開化がカギ!カレーライスにとんかつ、コロッケ。明治時代に誕生した洋食の魅力

山村 咲木

記者

ライター山村 咲木

みなさん、”洋食”と聞いたらどんな料理が頭に浮かびますか?

カレーライスやトンカツ、コロッケやオムライスなど。日本人には親しみのある、魅力的な料理がたくさんありますよね!今では、当たり前のように食卓に並ぶ洋食。外を歩けば至るところに洋食屋さんもあり、今を生きる日本人にとっては欠かすことのできない、身近な食のひとつとなっています。

そんな洋食の歴史は深く、明治時代の幕開けとともに本格的に日本へと広まりました。

 

はじまりは牛鍋?!
文明開化によって日本へとやってきた西洋料理

そもそも洋食は、日本でどのようにして誕生したのでしょうか。

時を遡ること、1872年(明治5年)1月24日。この日は、明治天皇がはじめて牛肉を食べた日といわれています。それまでの日本では、675年 に天武天皇が発布した「肉食禁止令」により約1200年もの長い間、肉食を禁止されていました。

1871年(明治4年)、明治天皇によって肉食が解禁。当時、文明開化により西洋からさまざまな文化が日本へ取り入れられ、その中の一つとして肉を食材として用いることの多い西洋料理が普及していきました。明治天皇が牛肉を食べたことが報じられると、庶民の生活にも牛鍋をはじめとする肉料理が徐々に広まっていきました。

「牛鍋」とは、今でいう「すき焼き」のこと。すき焼きと聞くと和食のイメージがあるかと思いますが、日本で西洋料理が広まるきっかけとなる重要な存在でもあったのです。

まさに、文明開化の象徴ともいえる肉食の発展。当時の日本にとって肉食文化を取り入れることは、西洋料理を取り入れることと同一なことでした。

明治時代のすき焼き?! 「大井牛肉店」の牛鍋を食べに行こう!

 

西洋の風が生んだ、日本独自の”洋食”文化

文明開化により、日本へと浸透していった西洋料理。しかし、すぐに一般的な家庭料理になることはありませんでした。明治初期のころは、限られた階級の人しか口にすることができず、一般庶民が西洋料理に使う材料をすべて揃えることは難しかったのです。

そんな中、西洋料理を日本風にアレンジした新たな食のジャンル「洋食」が誕生しました。

西洋料理は、基本的にパンやパスタなど小麦を使った主食を合わせることが多く、米を主食とする日本人の口には合わないことも。そこで当時の人々は、西洋料理の調理法をベースにお米との相性がよくなるようアレンジを加え、日本人好みの味に仕上げた洋食を生み出しました。

日々変化する時代の中でも変わらずに愛され続ける洋食には、当時の人々の知恵と工夫がたくさん詰まっています。新しい文化を取り入れつつも日本らしさを残した最強の料理こそが洋食なのですね!

 

明治時代に誕生した洋食 6選

明治〜現代に至るまでに、進化を遂げてきた洋食。今では、国境を超えて世界中でも認知されています。またその種類も豊富で、誕生当初から変わらないものや現代風に進化しているものなど、たくさんの洋食メニューが存在します。

洋食が誕生した明治時代には、一体どのようなメニューがあったのでしょうか。ここからは、明治時代に生まれた洋食を6選ご紹介します!

 

カレーライス

はじめにご紹介するのは、日本三大洋食のひとつ「カレーライス」。

カレーといえば、インドを思い浮かべる人も多いことでしょう。しかし、日本のカレーライスはイギリス料理のカレーをもとにつくられたもの。インドの食文化の影響を受けたイギリスで「カレー粉」がつくられ、西洋料理として日本へやってきたことによりカレーライスが世間に広まりました。

イギリスからやってきたカレーは、西洋料理では珍しくライスとセットになっていたのだとか。そのこともあり、栄養たっぷりのカレーライスは日本で瞬く間に普及していきました。

【明治の食】明治時代の恋愛グルメ小説に登場した「カレーライス」を味わおう!

 

とんかつ

次にご紹介するのは、こちらも日本三大洋食のひとつである「とんかつ」です。

とんかつが誕生するルーツとなるのが、フランス料理のコートレット。コートレットとは、仔牛や羊、豚などのお肉をスライスし、パン粉をつけてバター焼きしたもの。このコートレットを日本風にアレンジしたものがカツレツです。

薄切りのお肉を揚げ焼きにしたカツレツは、当時の日本人の舌には少々脂っこく感じたのだとか。そこで、日本食である天ぷらの技法を活かし、たっぷりの油で揚げることでサクッと軽やかな仕上がりになるとんかつが誕生しました。

 

コロッケ

日本三大洋食の最後を飾るのは「コロッケ」。

コロッケのルーツは、フランス料理のクロケット。クロケットの具材は、野菜やお肉、魚などを細かく刻み、ベシャメルソースと混ぜたものが主流。当時の日本ではこれらの材料を揃えることが厳しく、手に入りやすかったジャガイモを代用品としてつくりました。こうして、日本ではお馴染みのポテトコロッケが誕生したのです。

 

オムライス

次にご紹介するのは、洋食の定番「オムライス」。

オムライスのルーツとなるオムレツが、明治初期に日本へと到来。東京銀座にある洋食屋 煉瓦亭でライスの入ったオムレツ「ライスオムレツ」が誕生しました。当時の日本ではまだケチャップが普及していなかったため、元祖オムライスであるライスオムレツの上にケチャップはかかっていなかったそうです。

炒めたご飯を卵焼きで包みケチャップをかけた定番のオムライスは、大正時代に登場しました。

 

ビーフシチュー

赤ワインやトマトをベースに牛肉や野菜などを煮込む、イギリス発祥の料理「ビーフシチュー」。

ビーフシチューが日本に入ってきたのは、明治初期と言われています。明治中ごろになると、当時のレストランで取り扱う本格的な洋食のメニューとして定着していきました。

このほかに、日本発祥のシチューとして代表的なのが「クリームシチュー」。こちらは、大正時代に誕生しますが、一般家庭へと広まっていったのは1966年(昭和41年)ごろ。クリームシチューは、洋食をさらにアレンジして生まれた日本独自の料理なんですね。

 

エビフライ

“名古屋めし”としても有名な「エビフライ」。こちらも明治時代にできた洋食のひとつです。

エビフライの発祥には諸説ありますが、東京銀座の洋食店  煉瓦亭で誕生したと言われています。また、西洋料理にある魚のフライと江戸料理の天ぷらを結びつけて生まれたという説も。

このほかにも明治時代にはさまざまなフライ料理がつくられ、「カキフライ」なども明治生まれの洋食として誕生しました。

 

博物館 明治村で味わう、洋食グルメ

博物館 明治村では、明治時代に誕生した洋食を味わえるスポットがたくさん!

ここからは、博物館 明治村で食べられる洋食グルメの数々をご紹介。本格的な料理から手軽に食べられるワンハンドグルメまで、さまざまな洋食が登場します。博物館 明治村へ訪れる際の参考にしてみてくださいね!

 

トマトソースオムライス、明治のカレーライス
(明治の洋食屋 オムライス&グリル 浪漫亭|5丁目)

トマトソースオムライス

明治のカレーライス

5丁目にある「明治の洋食屋 オムライス&グリル 浪漫亭」。懐かしいレトロな雰囲気の店内で、おいしい洋食を堪能できます。

「トマトソースオムライス」は、ふわとろなたまごにトマトソースがたっぷりとかかった人気のメニュー。ゴロゴロと野菜が入った「明治のカレーライス」は、昔ながらの懐かしい味が楽しめるおすすめメニューです。

明治時代の本格的な洋食を食べたい!という方は、ぜひ浪漫亭に立ち寄ってみてください。当時さながらのおいしい洋食を楽しめますよ。

【明治の洋食屋 オムライス&グリル 浪漫亭】
https://www.meijimura.com/gourmet/%e6%98%8e%e6%b2%bb%e3%81%ae%e6%b4%8b%e9%a3%9f%e5%b1%8b-%e3%82%aa%e3%83%a0%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%82%b9%ef%bc%86%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%83%ab%e6%b5%aa%e6%bc%ab%e4%ba%ad/

 

挽肉のコロツケー
(食道楽のコロツケーの店|5丁目)

挽肉のコロツケー

明治時代を代表する洋食に、コロッケは欠かせません!5丁目にある「食道楽のコロツケーの店」では、牛肉と玉ねぎを使った王道のコロッケを味わうことができます。

手軽に食べれるサイズ感なので、小腹が空いたときのおやつにも最適!ホクホクおいしいコロッケは、食べ歩きにもぴったりです。

【食道楽のコロツケーの店】
https://www.meijimura.com/gourmet/%e9%a3%9f%e9%81%93%e6%a5%bd%e3%81%ae%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%84%e3%82%b1%e3%83%bc%e3%81%ae%e5%ba%97/

 

食道楽のカレー
(食道楽のカフェ|4丁目)

食道楽のカレー

4丁目にある「食道楽のカフェ」では、明治時代のグルメ小説 食道楽に登場するレシピを元につくられた「食道楽のカレー」などさまざまなグルメを味わえます。

文明開化のあんぱん

カレーのほかにも、パンの生地から中のあんこまでこだわりが詰まった「文明開化のあんパン」、冷たくておいしい「あいすくりん(バニラアイス)」などの甘いスイーツも人気です。

【食道楽のカフェ】
https://www.meijimura.com/gourmet/%e9%a3%9f%e9%81%93%e6%a5%bd%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7/

 

食道楽のカレーぱん
(食道楽のカレーぱんの店|2丁目)

食道楽のカレーぱん

こちらも同じく、明治のグルメ小説 食道楽のレシピを元につくられたカレーが入った「食道楽のカレーぱん」。

サクサクに揚がった衣の中には、鶏肉が入ったカレーがぎっしり!砕いた南京豆(ピーナッツ)がアクセントとなり、食感も楽しめるカレーぱんです。揚げたてアツアツのカレーぱんを召し上がれ!

【食道楽のカレーぱんの店】
https://www.meijimura.com/gourmet/%e9%a3%9f%e9%81%93%e6%a5%bd%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%81%b1%e3%82%93%e3%81%ae%e5%ba%97/

 

牛鍋
(牛鍋 大井牛肉店|1丁目)

牛鍋

明治時代、文明開化によって肉食が盛んとなり誕生した「牛鍋」。洋食とは少し異なりますが、この肉食という文化がなければ日本で洋食が広まることもありませんでした。

1丁目にある「大井牛肉店」では、そんな牛鍋を当時のスタイルでいただくことができます。風情あふれる空間の中で明治を感じながら、贅沢な牛鍋で極上のひとときを過ごしてみては。

【牛鍋 大井牛肉店】
https://www.meijimura.com/gourmet/%e7%89%9b%e9%8d%8b-%e5%a4%a7%e4%ba%95%e7%89%9b%e8%82%89%e5%ba%97/

 

今回は洋食の歴史や誕生についてご紹介しました。

世代を超え、いくつになっても心をときめかせてくれる洋食。その誕生について知ることで、洋食の魅力がより一層味わい深いものになるかもしれませんね。

INFORMATION

明治の洋食屋 オムライス&グリル浪漫亭

所在地

明治村5丁目 金沢監獄中央看守所付近

営業時間

平日11:00~(L.O. 15:30)|土日祝10:30~(L.O. 16:00)※季節によって異なる場合があります。

予算

~1,450円

公式サイトURL

https://www.meijimura.com/gourmet/%e6%98%8e%e6%b2%bb%e3%81%ae%e6%b4%8b%e9%a3%9f%e5%b1%8b-%e3%82%aa%e3%83%a0%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%82%b9%ef%bc%86%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%83%ab%e6%b5%aa%e6%bc%ab%e4%ba%ad/

食道楽のコロツケーの店

所在地

明治村5丁目 帝国ホテル中央玄関前芝生広場

営業時間

10:30~(L.O. 16:30)※季節によって異なる場合があります。

予算

~600円

公式サイトURL

https://www.meijimura.com/gourmet/%e9%a3%9f%e9%81%93%e6%a5%bd%e3%81%ae%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%84%e3%82%b1%e3%83%bc%e3%81%ae%e5%ba%97/

食道楽のカフェ

所在地

明治村4丁目 第四高等学校武術道場「無声堂」横

営業時間

平日11:00~(L.O. フードメニュー 14:30 ドリンク/スイーツ 16:30)、土日祝10:30~(L.O. フードメニュー 16:00 ドリンク/スイーツ 16:30)※季節によって異なる場合があります。

予算

~1000円

公式サイトURL

https://www.meijimura.com/gourmet/%e9%a3%9f%e9%81%93%e6%a5%bd%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%95%e3%82%a7/

食道楽のカレーぱんの店

所在地

明治村2丁目 札幌電話交換局前広場

営業時間

10:00~(L.O. 16:30)※季節によって異なる場合があります。

予算

~600円

公式サイトURL

https://www.meijimura.com/gourmet/%e9%a3%9f%e9%81%93%e6%a5%bd%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%81%b1%e3%82%93%e3%81%ae%e5%ba%97/

牛鍋 大井牛肉店

所在地

明治村1丁目 大井牛肉店内

営業時間

11:00~(L.O. 15:30)※季節によって異なる場合があります。

予算

5000円(お一人様)~

電話番号

0568-67-0314(事前予約を推奨しております。)

公式サイトURL

https://www.meijimura.com/gourmet/%e7%89%9b%e9%8d%8b-%e5%a4%a7%e4%ba%95%e7%89%9b%e8%82%89%e5%ba%97/

Writer

山村 咲木

記者

ライター山村 咲木

愛知県・名古屋市出身。大学ではメディアプロデュースコースを専攻し、広告やデザインについて学びました。卒業後は一般企業に就職。その傍らで、ライターとして活動中。おいしいものに目がなく、グルメな記事を中心に執筆活動を行なっています。趣味は、イラストを描くこと、喫茶店巡りをすること、映画・ドラマ鑑賞、フラワーアレンジメントなど。料理をすることも好きで、休日には手料理を家族や友人に振る舞っています。