記者
ライターいずのうみ
2021/11/16
普段、私たちが何気なく食べているお菓子。クッキーやケーキ、チョコレート、アイスクリーム、キャラメルなどさまざまな種類がありますが、これらの歴史を知っていますか?
クッキーやケーキなどの洋菓子は明治時代に日本に伝わり、時代とともに広く親しまれるようになりました。現在でも有名なあのお菓子メーカーも明治創業なんですよ!
この記事では、明治時代のお菓子業界の変化や、明治時代に生まれたお菓子などについてご紹介します。
銀座・京橋を描いた文明開化の錦絵 広重 安藤徳兵衛『鉄道馬車往復京橋煉瓦造ヨリ竹河岸図』
(転載:国立国会図書館ウェブサイト)
明治時代までは和菓子は高価なものであり、偉い人に献上されるため、一般庶民が簡単に食べられるものではありませんでした。
明治時代に入ると砂糖が比較的安くなったほか、文明開化の名のもとに、西洋のお菓子や食べ物が日本に取り入れられ多様化が進みます。そして、欧米で西洋菓子の作り方を学んだ人たちによってお菓子を作る技法や材料にも変化が現れました。
明治時代の砂糖のラベル
これまで海外から取り入れられたお菓子はオランダやポルトガルのものがほとんどでしたが、明治時代になるとイギリスやフランス、アメリカの洋菓子も入ってきます。
当初はバターやミルクの味になじみがなかったため、日本人はあまり興味を示しませんでした。しかし日本の製菓店 松月堂がビスケットの製造と販売に踏み切ると次第に洋菓子の人気が広まり、機械化による大量生産も行われるようになりました。
キャンディ
そして、ビスケットやチョコレート、キャンデイ、パンなどさまざまな洋菓子が普及するようになりました。私たちが今でも大好きなお菓子たちは、明治時代に誕生していたんですね!
風月堂「ウェーファース(ウエハース)」のチラシ
さらに洋菓子だけでなく、あんパンやクリーム入り饅頭など、西洋のお菓子と日本で親しまれていたお菓子を組み合わせて、日本人の好みに合わせた和洋折衷のお菓子も誕生。明治時代は日本のお菓子に革命が起きたと言っても過言ではありません。
そして明治時代後半になるとお菓子の品質も良くなり、海外への輸出も始まります。現在でも有名なお菓子メーカーの「森永製菓」「不二家」「木村屋(銀座木村屋總本店)」などはすべて明治時代に創業しているんですよ。
明治時代に出版されたお菓子のレシピ『万宝珍書. 食料之部』
(転載:国立国会図書館ウェブサイト)
明治以前に海外から日本に伝わったお菓子にはカステラやこんぺい糖など、南蛮菓子と呼ばれるものがありましたが、明治以降はさらに洋菓子も加わり、日本のお菓子の種類がぐっと増えました。
明治時代に輸入されたお菓子は、今も私たちの身近で食べられるものが多く、以下のようなお菓子が挙げられます。
また、黒船来航をきっかけにコーヒーを提供する西洋料理店も登場。パイやショートケーキ、シュークリームなどの洋菓子も生まれています。
ポケットキャラメル印刷缶
明治時代に広まったお菓子は、その後も改良や改善が行われ、味や形を変えながら今も私たちの身近なところにあふれています。
森永製菓 キャラメル(1899年/明治37年発売)
例えばお菓子の機械化・大量生産のパイオニアと言われる森永製菓では、マシュマロやキャラメル、チョコレート、ゼリービーンズなどを明治時代から販売しています。
サクマ式ドロップス(1908年/明治41年発売)
また、初の国産ドロップスとなった佐久間製菓の「サクマ式ドロップス」は110年以上もの歴史を持ち、大正2年からはじめた缶入りドロップスのスタイルは今も変わらず続けられています。
普段あたりまえのように食べているお菓子も、実は明治時代に生まれていたものだと知ると歴史を感じませんか?自分の好きなスイーツの歴史を調べてみると、新しい発見があるかもしれません。
記者
ライターいずのうみ
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