記者
メイジノオト編集部
2023/09/08
記者
メイジノオト編集部
三重県鳥羽市にある「江戸川乱歩館」。
2021年10月に発生した火災により本館などが全焼し長期休館していましたが、古民家をリノベーションし2023年4月にリニューアルオープンしました。
テーマは「江戸川乱歩と鳥羽」。『少年探偵団』や『D坂の殺人事件』など数々の名著を残し、日本の推理小説の礎を築いた江戸川乱歩(本名・平井太郎)。かつて鳥羽に住んでいた乱歩と鳥羽の人々との関わりや、乱歩が鳥羽でインスピレーションを受けた作品などについて展示しています。
「江戸川乱歩館」があるのは、JR・近鉄「鳥羽駅」から徒歩約10分の場所。車の場合は、伊勢ICから伊勢二見鳥羽ライン経由で約15分ほどです。
▼詳しくはこちら
http://rampomuseum.com/#map
こちらの赤い看板が目印!
大正6年末から大正8年1月まで、鳥羽で暮らしていた江戸川乱歩。探偵作家としてデビューする約5年前、23〜24歳の頃です。
「江戸川乱歩館」では、「江戸川乱歩と鳥羽」をテーマに乱歩と鳥羽との関わりについて、写真やエピソードを交えながら紹介しています。
こちらは「乱歩ゆかりの地マップ」。
例えば、乱歩の著書『パノラマ島奇談』の書き出しのところにある「M県」は三重県、「I湾」は伊勢湾、「S郡」は鳥羽を含むかつての志摩郡であり、パノラマ島のモデルは、鳥羽の「相島」といわれています。
そのほかにも、乱歩が働いていた鳥羽造船所、乱歩が車で落下した崖、乱歩が住んでいた寮など、鳥羽には乱歩にまつわるスポットが満載です。当時に思いを馳せながら、ぶらり散策もおすすめですよ。
乱歩が鳥羽で過ごしたのは約1年という期間ではありましたが、乱歩にとって重要な出会いがいくつもありました。
妻・村上隆との出会い
乱歩の妻となる村上隆と出会ったのも鳥羽です。隆は、鳥羽市内の板手島(さかてじま)で育ち、小学校の教師として働いていました。乱歩が同僚たちと結成した「鳥羽おとぎ倶楽部」の活動を通じて、知り合ったのだとか。
志摩はよし
鳥羽はなおよし 白百合の
真珠のごとき君の住む島
この歌は、乱歩が隆の住む板手島の美しさを詠んだものです。
乱歩を魅了した鳥羽の奇才・岩田準一との出会い
画家であり、風俗や男色の研究家であった鳥羽の奇才・岩田準一。彼との出会いも、鳥羽造船所で働いていた頃でした。乱歩が作家としてデビューすると、著作の挿絵を描いたり、男色研究を通じて友好を深めました。
乱歩は準一との関係について下記のように綴っています。
当時(昭和8年頃)人嫌いで、交友といっては、鳥羽の岩田準一君がほとんど唯一の相棒で、一緒に旅行したり、東京市内、ことに浅草公園をふらついたりしていた。岩田はおしゃべりで、オッチョコチョイの好人物であったから、ものぐさで、鈍重でむっつり屋の私とは、とくにウマがあった。
館内では、スケッチブック、スクラップブック、挿絵の下絵など、岩田準一に関する貴重な資料も展示されています。これらは火災をきっかけに未整理の資料から発見されたもので、リニューアルを機に展示がはじまりました。
2021年10月の火災で、資料の多くが消失してしまいましたが、火災の中から救い出された資料も。焼けたり濡れたりした資料の修復や整理には、約1年半かかったのだそう。
一方で、焼失を免れた貴重な資料も。
乱歩がやりとりした直筆の手紙や、晩年のトレードマークともいえるベレー帽や万年筆などは無事でした。乱歩ファンにはたまらない資料ばかりです。
中庭では、鳥羽市の昭和30年頃のまちなみを再現しています。乱歩の作品にも登場しそうな雰囲気ですよね。
探偵小説『少年探偵シリーズ』に登場する「怪人二十面相」をイメージした顔出しパネルもあるので、ぜひ記念撮影してくださいね!
そのほかにも乱歩の歴代の作品や、岩田準一の挿絵も展示されています。
ぜひご覧いただきたいのが「乱歩シアター」。動画の撮影や編集が趣味だったという乱歩自身が相島(現在の真珠島)で撮影し、編集した映像などが上映されています。
江戸川乱歩館では、リニューアル記念の謎解きゲーム「江戸川乱歩の暗号日記」を開催中。LINEを使って、館内&鳥羽のまちあるきで謎を解いていきます。(料金:500円)
<ストーリー>
鳥羽少年探偵団のもとに新設された乱歩館から依頼が届いた。
依頼の内容は「乱歩の日記の暗号を解読してほしい」というものだった。
あなたも鳥羽少年探偵団の一員になって、この謎に挑戦してほしい。
今回は江戸川乱歩館の現地レポートをお届けしました。
ここでしか見られない貴重な資料ばかりでした。江戸川乱歩がお好きな方、ミステリーがお好きな方、謎解きがお好きな方は、ぜひ足を運んでみてくださいね!
所在地 |
三重県鳥羽市鳥羽2丁目5-11 |
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営業時間 |
10:00~16:00(最終入館15:00) |
定休日 |
火曜日、水曜日、年末年始 |
料金 |
大人500円、中高生300円、小学生以下無料 |
電話番号 |
0599-26-3745 |
駐車場 |
4台(旧和気内科敷地) |
公式サイトURL |
https://rampomuseum.com/ |
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