明治時代について学べるおすすめの本10選!

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文学

2023/11/12

明治時代について学べるおすすめの本10選!

江戸時代が終わり、近代国家への道を進みはじめた明治時代。西洋からの新しい価値観を柔軟に受け入れ、日本古来のものと組み合わせながら、世界に類を見ない速度で大変革を遂げた時代です。郵政制度の導入や鉄道開通、小学校教育や自由民権運動の開始など、現在につながる制度の礎となっているものが多くあります。

学校の授業で「王政復古」「廃藩置県」「富国強兵」「教育勅語」「版籍奉還」など、明治時代に関連する四字熟語を覚えた人も多いのではないでしょうか。

「日本史は暗記するもの」という印象から歴史に苦手意識がある方も、いま、改めて明治時代について学びなおしてみませんか?

わかりやすく楽しみながら読める書籍に加え、興味深い切り口で明治を読み解く書籍も多く、新たな発見がたくさんあるはずです。

今回は、明治時代について学べるおすすめの本をご紹介します。

文明開化の日本改造―明治・大正時代 (よくわかる伝統文化の歴史)

『文明開化の日本改造―明治・大正時代 (よくわかる伝統文化の歴史)』著:中村修也/発行:淡交社

「伝統文化」の切り口から、明治・大正時代を読み解く一冊です。「近代文化の受容」「茶の湯の新時代」「学校教育と伝統文化」「世界と交流する美術工芸」の4つのテーマから時代を解説。

上野の森に博物館が誕生した背景や、牛鍋・アンパンをはじめ食文化の変化と普及、コマ・隠れんぼといった子どもの「遊び」など、私たちの暮らしに馴染み深い話題が多いので、興味を持って読み進められますよ。

2時間でおさらいできる日本史 近・現代史篇

『2時間でおさらいできる日本史 近・現代史篇』著:石黒拡親/発行:大和書房

「暗記」も「年代」も無視して読めて、「近現代の日本史はおもしろい!」と実感できる本です。憲法発布、普通選挙の開始、政変に次ぐ政変と、ドラマティックな大変革が繰り広げられた近現代史を、スラスラと読める文章で解説しています。太平洋戦争前の陸軍と海軍の思惑は? 五・一五事件から何がはじまった? 明治政府内のライバルは誰と誰? など、明治時代以降の歴史をざっくりと理解できます。

トピックスが細かく分かれているので、通勤時間やスキマ時間にも気軽に読めますよ。

いっきに! 同時に! 世界史もわかる日本史<近現代編>

『いっきに! 同時に! 世界史もわかる日本史<近現代編>』著:河合敦/発行:実業之日本社

大人になってから歴史を学び直すのにぴったりな一冊。日本を揺るがした近現代のできごとや事件・戦争をたどりながら、同時期の世界史の主要なトピックスを並列で解説しています。

多くの人にとって親しみのある手塚治虫氏の名作漫画に加え、歴史的写真の両方を掲載しているため、時代の様子をリアルにつかめることが特徴。図表も多く用いられているので視覚的に情報を捉え、整理できますよ。

明治以降の近現代の日本史・世界史を広く理解したい方におすすめの歴史入門書です。

「明治」という国家(新装版)

『「明治」という国家(新装版)』著:司馬遼太郎/発行:NHK出版

『梟の城』『竜馬がゆく』『坂の上の雲』など数々の名作を生み出した、小説家・司馬遼太郎。時代小説では、幕末から明治にかけての時代を多く扱っています。「明治は多くの欠点を持ちつつ、偉大としかいいようがない」と表現する司馬が、「西郷隆盛や小栗忠順は何がすごかったのか?」「武士はどのようにして滅んだのか?」など、実は謎が多い幕末・明治の実情を綴ります。

ベストセラー&ロングセラーとなり、日本人の「明治観」の基礎となった『NHKブックス「明治」という国家(上・下)』を読みやすくまとめた新装版は、一冊で幕末・明治の空気が実感できるでしょう。

はじめての明治史─東大駒場連続講義

「はじめての明治史─東大駒場連続講義」著:山口輝臣/発行:筑摩書房

日本トップクラスといわれる東京大学の講義を、模擬的に活字で聴講できる本です。

「幕府はどうして倒れたのか?」「内閣制度はなぜ導入されたのか?」「明治はどのように終わったのか?」など、大きな問いに答える形で、第一線の歴史家が東大駒場で連続講義した内容がまとめられています。質疑のレベルが高く難しい内容もありますが、学生の高い歴史的思考力や鋭い着眼点から学ぶ点も多くあるでしょう。

明治時代への理解を深めたい、知的探究心が強い方におすすめです。

殿様は「明治」をどう生きたのか

『殿様は「明治」をどう生きたのか』著:河合敦/発行:扶桑社

版籍奉還、廃藩置県により支配者の地位から転落した元殿様(大名)たち。戊辰戦争で勝った大名も負けた大名も関係なく、領地は没収され、家臣は解散させられました。

多くの大名は明治維新後も華族として優雅な暮らしをしていたイメージがありますが、なかには困窮する者も少なくなかったとか。本書では、多様な元殿様の「その後」のなかから、特に波瀾万丈な人生を送った14人の生きざまが紹介されています。著者は、歴史研究者・歴史作家でありながらテレビでも活躍している河合敦氏。わかりやすく解説されていて、最後まで楽しく読み進められますよ。

また、本書が好評だったことから、同シリーズの『殿様は「明治」をどう生きたのか2』も出版されています。

ニャンと明治時代はこうだった: おかしな猫がご案内

『ニャンと明治時代はこうだった: おかしな猫がご案内』著:もぐら/発行:ベストセラーズ

おかしな猫の(猫田さん)と一緒にタイムトラベルして、明治時代の暮らしぶりが体験できるユニークな本です。

テーマは、明治時代の化粧、お風呂、男女観、家の間取り、刺青、洋食、排外主義など。わかりやすい解説マンガのほかにもコラムが充実しており、意外な明治の実態がわかります。“おかしな猫がご案内”シリーズは、江戸時代、室町時代に続き、明治時代は第3段となる人気作品です。

猫が歩いた近現代

『猫が歩いた近現代』著:真辺将之/発行:吉川弘文館

空前の猫ブームといわれ、いまや犬よりも多くの人に飼われている猫。江戸時代には化ける・祟るなど狡猾で恐ろしいイメージだった猫は、どのように現在の地位を獲得してきたのでしょうか。

明治時代以降の近現代において、猫は文豪たちに愛され、ネズミ駆除で重宝された一方、虐待や軍用毛皮の供出、食糧難による猫食いなど、苦難の路をたどってきました。動物愛護の土壌形成や震災・戦争、復興と高度成長などの歴史を通じて、人間社会と猫たちの変化が描かれています。

明治時代に設立された日本初の愛猫団体や、大正時代に行われた日本初のキャットショーなど、興味深い話題もたくさん出てきますよ。

近代日本の視覚開化明治──呼応し合う西洋と日本のイメージ

『近代日本の視覚開化明治──呼応し合う西洋と日本のイメージ』編集:愛知県美術館、神奈川県立歴史博物館 /発行:風媒社

愛知県美術館の企画展「近代日本の視覚開化明治──呼応し合う西洋と日本のイメージ」の図録として刊行されました。

人々の生活や文化を含め、さまざまな変容を遂げた明治時代。造形活動の領域でも多彩な動向が生まれ、西洋から入ってきた情報や技術・イメージが、当時の日本の人々に新たな視覚、つまり新たなものの見方・見せ方を開きました。「文明開化」は「視覚開化」でもあったのです。

時代の転換期に和洋の化学反応によって生まれた、明治期特有の表現がみられる絵画・造形、工芸、印刷・出版、写真、建築などが集結した一冊です。

尾張・三河 明治の商店 絵解き散歩

『尾張・三河 明治の商店 絵解き散歩』 著:森靖雄/発行:風媒社

明治時代中期の尾張・三河地方にスポットをあてた一冊です。明治20年(1887年)ごろの尾張・三河の商店を紹介した銅版画の絵図「尾陽商工便覧」「参陽商工便覧」を読み解き、文明開化を経て発展途上にある地方都市の姿を探っていきます。

本書には写真師、ランプ製造、時計商、書籍商、蒸気船問屋、人力車製造、牛乳搾取所、薬舗、土管瓶製造所、葡萄酒醸造処など、実に多様な商店が登場。当時の世相や暮らしぶり、地域の特徴や産業などがわかり、身近な地域への理解が深まります。

明治時代を学び直すと、現代の暮らしにまつわる新発見がたくさん!

近代国家への転換期となった明治時代。語り継がれる事件やできごとの背景と時代の流れを理解していくと、どんどん興味が湧いてくるはず。私たちの暮らしに関わるグルメやファッション、カルチャーなども、深掘りしていくと明治時代に行き着くことが数多くあります。

明治時代について、楽しみながら学び直してみてはいかがでしょうか。

メイジノオトでも、明治時代の文化や歴史、グルメなどを紹介するコラムを発信中です。ぜひチェックしてくださいね。

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