記者
メイジノオト編集部
2023/05/30
帝国ホテル 東京にて、ライト館開業100周年記念企画「The Wright IMPERIAL; A Century and Beyond」が開催中です。フランク・ロイド・ライト設計の帝国ホテル2代目本館(通称「ライト館」)が2023年に開業から100周年を迎えることを記念した企画展示です。
今回の企画に合わせて復刻された当時の客室係の制服の展示をはじめ、ライト館で使用されていた家具や調度品など、貴重な資料がずらり!
会場は帝国ホテル 東京の本館1階正面ロビー 展示スペース 「インペリアル タイムズ」。鑑賞は無料なので、どなたでもご覧いただけます。
展示スペースの四隅には、ライト館のロビーと宴会場を彩った「光の籠柱」を再現。展示だけでなく、ぜひ空間にも目を向けてみてくださいね。
近代建築の三大巨匠のひとりであるフランク・ロイド・ライトが設計した2代目本館(通称「ライト館」)は2023年に開業から100周年を迎えます。その卓越した建築美から「東洋の宝石」と称され、1967年に幕を閉じるまで、ホテルウエディングや海外の食文化を紹介するフードフェスティバルなど、多くのホテル文化が生まれた華々しい舞台でもありました。
今回の記念企画では、ライト館の建築について、またライト館時代に生まれ、今日まで継承されるホテル文化について、当時から現存する貴重な資料と共にご紹介いたします。
会場中央にある6つのショーケースでは、「ライト館」の建築や、そこで生まれ今日に継承されている文化など、建築と文化2つの視点から帝国ホテルについて紹介しています。
例えば、こちらは建設当時の黄色いスダレ煉瓦(スクラッチタイル)。
当時、煉瓦の色味は赤色が主流で黄色は珍しく、また、スダレ煉瓦(スクラッチタイル)そのものが日本では製造されていなかったため、専用工場「帝国ホテル煉瓦製作所」が設立され、400万個の煉瓦がつくられました。
ライト館の竣工とともに役割を終えた専用工場の従業員と設備は、のちの伊奈製陶株式会社(現在の株式会社LIXIL)に引き継がれることに。帝国ホテルと、常滑の陶器製造がつながっていたなんて驚きです!
ライト特有のデザインが施された食器類
フランク・ロイド・ライトは、設計した建物に合わせて室内装飾や備品のデザインも手がけました。写真は当時の食器類。家具・カーテン・絨毯など、細部にまでライトのこだわりが詰まっています。
繁岡ケンイチ氏がデザインしたホテルのパンフレットやマッチ箱
「ライト館を支えた日本人」というコーナーでは、建築家・遠藤新氏と、画伯・繁岡ケンイチ氏が紹介されていました。
繁岡ケンイチ氏は帝国ホテルのフランク・ロイド・ライト建築事務所設計部インテリア部門に入所。宴会場「孔雀の間」の大壁画や、ホテルオリジナルのマッチ、パンフレットなどのデザインを手がけました。
当時の婚礼の料理メニュー(写真右下)
今では定番になっている「ホテルウエディング」は帝国ホテルがはじめた日本初のサービスなんです。
当時は自宅や神社での婚礼が主流でしたが、関東大震災によって多くの神社仏閣が焼失。そこで、帝国ホテル内に神社を設置し、挙式と披露宴をひとつのホテル内で行うスタイルが誕生しました。これが現在のホテルウエディングの原型になったと言われているのだそう。
ホテルウエディングや海外の食文化を紹介するフードフェスティバルなど、帝国ホテルはさまざまな文化が誕生する場所でもあったのです。
ライト館時代、調理場で使用されていた掛け時計
ライト館にて、照明をほどこした柱や壁面に使われた煉瓦
ライト館にて、宴会場(孔雀の間)で使用された椅子
会場奥では、ライト館で使用されていた家具や調度品など貴重な資料がずらりと展示されています。
中でも注目していただきたいのが、こちらのコーナー。
今回の企画に合わせて復刻された当時の客室係の制服の展示です。当時の写真と、実際に当時の帝国ホテルで働かれていた客室係さんの記憶をもとに復刻されました。爽やかなブルーが素敵ですよね。
ライト館時代の客室係は、昼は洋服に、夜は和服にユニフォームを着替えていたのだそう。
制服の横にある窓にも注目!こちらは実際にライト館で使用されていた窓です。ライト特有の格子状の装飾が施されています。
模型と図面の展示も。さらには3Dでリアルに再現された動画も放映されていました。
現在は明治村に残されている中央玄関部しか実際には見ることができませんが、模型や動画から当時の帝国ホテルの様子が浮かび上がってきました。
中庭を設ける、あえて廊下を狭くするなど、人が交流するきっかけとなるさまざまな工夫が施されています。
Image:Atelier Tsuyoshi Tane Architects
※検討段階のものであり今後行政協議等により変更となる可能性があります。
2021年に帝国ホテル 東京の新本館建設計画が発表されました。ライト館、現本館に続く4代目。デザインアーキテクトにパリを拠点に活躍する建築家・田根剛氏を起用し、2036年に完成予定です。
<新本館のコンセプト>
賓客を迎え入れる『宮殿』の構えと人類の進歩の証である『塔』を融合することで、唯一無二かつ新しい迎賓館にふさわしく、首都の中心に燦然と輝く存在として、ライト館を形容する言葉として使われた『東洋の宝石』を継承し、未来につなげるコンセプト。
そのほかにも帝国ホテルでは「ライト館開業100周年記念企画」として、ライト館にちなんだ商品、宿泊プランの販売なども行っています。
企画展示「The Wright IMPERIAL; A Century and Beyond」は、2023年9月30日(土)までを予定しています。ぜひ一度足を運んでみてくださいね。
ライト館開業100周年記念企画「The Wright IMPERIAL; A Century and Beyond」
https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/event/the_wright_imperial_a_century_and_beyond.html
所在地 |
東京都千代田区内幸町1-1-1 |
---|---|
電話番号 |
03-3504-1111 |
公式サイトURL |
https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/index.html |
記者
メイジノオト編集部
PICK UP