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「博物館 明治村」に潜む、 隠れハートマークを探しに行こう!

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明治村ガイド

2021/08/18

「博物館 明治村」に潜む、 隠れハートマークを探しに行こう!

愛らしく、馴染みのある「ハートマーク」。

みなさんは、ハートマークにどのようなイメージをお持ちでしょうか。「心臓」のほかに「愛情」や「恋愛」といった「愛」を連想するイメージが強いのでは?そんなハートマークが「愛」を表現するモチーフとして日本にもたらされたのは、明治時代であったといわれています。

ハートマーク=心臓?恋愛?

16世紀、キリスト教の伝来とともに日本へやってきたハートマーク。

キリスト教の宣教師 フランシスコ・ザビエルを描いた絵画には、燃えているハートを手にしている様子が描かれています。そのハートの意味は「燃え上がる心臓」。このときにはすでに、「心臓」を意味するハートマークが日本へ伝わっていたことがわかりますね。

与謝野晶子『みだれ髪』 新潮文庫(1991)

そんなハートマークが「愛」を表現するモチーフへ変化していったのが、明治20〜30年代ごろ。与謝野晶子の歌集『みだれ髪』の表紙にも「愛」を表現したハートマークが用いられています。

今では、バレンタインのモチーフになったり、「かわいさ」を表現する記号として使われたり……。「心臓」だけでなく、人の「愛」という感情を表すハートマーク。いろいろなカタチの「♡」が世の中にあふれています。

こんなところに、ハートマーク?!「博物館 明治村」に隠れる♡探しの旅

実は、「博物館 明治村」にはハートマークが潜むスポットがたくさんあるんです。今回は、そんな「♡」スポットをまとめてご紹介。明治時代に存在したさまざまな「♡」を、楽しむことができますよ。それでは、一緒に隠れハートマークを探す旅にでましょう!

和と洋のミックス?!魅力たっぷり「芝川又右衛門邸」

3丁目68番地に位置する「芝川又右衛門邸」。こちらの建物は、明治44年に大阪の商人である芝川又右衛門が別荘として建てました。

芝川邸を建設したのは、”関西建築界の父”といわれている建築家・武田五一。ヨーロッパでの留学経験を持つ武田五一が手掛けた芝川邸は、和と洋がうまく調和された斬新でおもしろいデザインを楽しむことができます。

「芝川又右衛門邸」内は、建物ガイドに参加する人のみが入れます。

中へ入ると、金色でうず巻き模様の壁が目に飛び込んできます。豪華でユニークなデザインに、入り口からワクワクしますね!

さっそく、豆電球の部分にハートマークを発見!この家の設計者・武田五一が図面にも残しています。おしゃれで可愛らしい、西洋風なデザイン。

五一がヨーロッパへ留学した当時、イギリスでは美術工芸運動「アーツ・アンド・クラフツ」が盛んだったそう。その影響もあって、五一が手掛けるものには西洋からのインスピレーションを強く感じるデザインが多いように思います。

しかしここ芝川邸には、西洋風のシンボライズな「♡」とはどこか違った雰囲気の「♡」が潜んでいるのです。

そのハートマークがこちら。屋外にある窓受けに注目です!逆さになったハートが2つ連なっていますね。(写真の丸の部分)このような逆さになったハートマークを、お寺や神社で見かけたことはないでしょうか?

こちらは、日本古来の文様・猪目(いのめ)を彷彿とさせる「♡」のデザイン。日本では「心臓」や「愛」の意味がハートにもたらされる以前から、ハートマークが存在していたのです。日本固有の紋章である家紋やお寺・神社で見かける猪目には、ハートマークに似た模様が使われています。日本の古い建築には、このようにハートマークと同様のデザインをさまざまなところで垣間見ることができます。

芝川邸にも、この日本古来からの伝統的なデザインとして取り入れられたと思われる、日本ならではのハートマークが潜んでいるのです。

2階にある手すりの下部にも、隠れハートマークが。「♡」の中に、緑豊かな景色を覗ける、かわいらしいデザインです。

さりげなくあしらわれているハートマークですが、和室から眺めると、日本風な「♡」が猪目を意識しているようにも見えますね。一見すると西洋風なデザインにも、和の文化や伝統を感じられるおもしろさが隠れています。

2階には、芝川又右衛門邸で実際に使用していた家具の展示も。西洋風のレトロな家具は、アンティークマニアにとってもたまらない逸品なのではないでしょうか。

そんな家具の中にも、「ひょっとすると、これもハートマーク……?」と思わせるデザインが隠れています。

和と洋のテイストがミックスされた木製の花台。中央にあるデザインが、どことなくハートのような形をしています。このように曲線を活かした当時のデザインは、今見てもおしゃれで素敵なデザインですよね。

今回ご紹介したハートマークのほかにも、魅力的なデザインがたくさんあります。何回でも訪れたくなる、和洋折衷な見どころがたっぷりの「芝川又右衛門邸」。ぜひ隠れ「♡」を探しに、訪れてみてください!

天井に隠れるユニークなデザイン

【芝川又右衛門邸】
所在地:〒484-0000 愛知県犬山市内山
https://www.meijimura.com/sight/%e8%8a%9d%e5%b7%9d%e5%8f%88%e5%8f%b3%e8%a1%9b%e9%96%80%e9%82%b8/

日本の伝統的な「♡」が隠れている、ふたつのスポット

さきほどご紹介した中にも登場した日本古来からある文様・猪目。「博物館 明治村」の中には、この猪目という名のハートマークを実際に見ることができるスポットが二箇所あります。

三重県尋常師範学校・蔵持小学校

1丁目3番地にある「三重県尋常師範学校・蔵持小学校」。もともと尋常師範学校(小学校教師を養成するための施設)として三重県に建てられたこちらの建物。後に、蔵持村に移築され、蔵持小学校として使われていたそう。

中入ると、明治時代に使われていた筆記用具や成績表などの展示をはじめ、当時の教室が再現された部屋など……。楽しいみどころ満載です!

建物を正面から見上げた先に、ハートマークらしきものを見つけました!(写真の丸の部分)

このハートマークが、まさに猪目。懸魚(げぎょ)という屋根に取り付けられた妻飾りにデザインされています。この猪目には、火除けの意味が込められています。

【三重県尋常師範学校・蔵持小学校】
所在地:〒484-0000 愛知県犬山市内山1
https://www.meijimura.com/sight/%e4%b8%89%e9%87%8d%e7%9c%8c%e5%b0%8b%e5%b8%b8%e5%b8%ab%e7%af%84%e5%ad%a6%e6%a0%a1%e3%83%bb%e8%94%b5%e6%8c%81%e5%b0%8f%e5%ad%a6%e6%a0%a1/

宮津裁判所法廷

5丁目63番池にある「宮津裁判所法廷」。明治時代、京都の宮津市に建てられた裁判所法廷です。

中に入ると当時の裁判風景が再現されており、臨場感を楽しむことができます。

ここでは、こんな場所にハートマークが隠れていました!

懸魚の下部分に2つのハートマークを見つけました!(写真の丸の部分)ちょこんと左右対称に並ぶハートマーク。さりげない位置に隠れているので、見つけると少し嬉しい気持ちになります!

当時の日本と西洋、両方の文化やデザインの魅力がたくさん詰まった「芝川又右衛門邸」。そして、日本の伝統ある文様を見ることができる「三重県尋常師範学校・蔵持小学校」と「宮津裁判所法廷」。

それぞれに異なる「♡」が潜む「博物館 明治村」のハートスポットへ、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

【宮津裁判所法廷】
〒484-0000 愛知県犬山市内山
https://www.meijimura.com/sight/%e5%ae%ae%e6%b4%a5%e8%a3%81%e5%88%a4%e6%89%80%e6%b3%95%e5%bb%b7/

【番外編】意外なところで見つけた「♡」

「博物館 明治村」には、こんなハートのフォトスポットも!

「帝国ホテル中央玄関(5丁目)」の近辺に突如現れる大きなハートのフレーム。撮影台も完備されており、抜群のロケーションで記念写真を撮ることができます。

こちらのハートは、シーズンにあわせて装飾が変わるそう。

村内を歩いていると、さりげなく置かれている街灯にもハートらしき模様が!洋風なデザインがレトロでかわいい街灯。どことなくフォルムがハートマークに似ているような……。

「博物館 明治村」の中に潜む、隠れハートマーク探しの旅。いかがだったでしょうか?

今回ご紹介した場所以外にも、もしかしたら新たな「♡」を発見することができるかもしれません。いろいろなハートマークを見つけに、村内を散策してみてくださいね!

INFORMATION

Writer

山村 咲木

記者

ライター山村 咲木

愛知県・名古屋市出身。大学ではメディアプロデュースコースを専攻し、広告やデザインについて学びました。卒業後は一般企業に就職。その傍らで、ライターとして活動中。おいしいものに目がなく、グルメな記事を中心に執筆活動を行なっています。趣味は、イラストを描くこと、喫茶店巡りをすること、映画・ドラマ鑑賞、フラワーアレンジメントなど。料理をすることも好きで、休日には手料理を家族や友人に振る舞っています。