記者
メイジノオト編集部
2024/07/20
博物館明治村は、映画やドラマのロケ地として多くの建造物が使われています。中でも、朝ドラ(NHK「連続テレビ小説」)との縁は深く、歴代のドラマ「ごちそうさん」や「花子とアン」でも村内の歴史的な建物が使用されました。
現在放送中の2024年度前期放送のNHK連続テレビ小説「虎に翼」でも明治村内のさまざまな場所がロケ地として使用されています。
そこで今回は、撮影場所となった明治村のロケ地と合わせて、名古屋市内のロケ地をご紹介します。
NHK連続テレビ小説「虎に翼」は、日本初の女性弁護士であり、後に裁判官となった三淵嘉子さんの人生を基にしたリーガルエンターテインメントです。ドラマの主人公は伊藤沙莉さんが演じる猪爪寅子。寅子が世の中の荒波と戦いながら成長していく姿が描かれています。
ドラマの初回冒頭シーンから「鶴舞公園」や「市政資料館」が登場するなど、愛知県内の多くの場所がロケ地として使用されています。
まずは明治村でのロケ地からご紹介します。「虎に翼」では4ヶ所がロケ地として使用されています。
「虎に翼」では、寅子の父・直言と下宿人の優三が働いている帝都銀行のシーンが初回の放送から登場します。このシーンは、村内5丁目に建つ「内閣文庫」が帝都銀行として使われています。
内閣文庫は、赤坂離宮内に「太政官文庫」という名で開設された明治政府の図書館で、明治44(1911)年に建てられたものです。
設計者は、後に国会議事堂の建設を指揮することになる大熊喜邦です。この建物はルネッサンス様式を基調とし、石と煉瓦で造られています(移築時に構造は鉄筋コンクリートに変更されました)。正面には4本の円柱と2本の角柱が巨大なペディメントを支えており、その姿は古代ギリシャ・ローマの神殿建築を彷彿とさせます。
帝都銀行の内観|三重県庁舎
帝都銀行の中のシーンとして、明治村1丁目にある「三重県庁舎」の2階中央部が使われています。内務省庁舎にならったもので、明治初期の木造官庁舎の典型的な建物です。
現存する最古の県庁舎として重要文化財に指定されています。
三重県庁舎は永野芽郁が主演を務めたNHK連続テレビ小説「半分、青い。」でも使われており、主人公の初デートシーンとして登場します。明治村でデートするシーンを見たことがある!という方も多いのではないでしょうか。
ドラマで使われた2階中央部の正庁、応接、知事室は、特に格式が高い部屋でもあります。
天井を格天井とする意匠がその雰囲気を物語っています。室内のカーテンや調度等も再現され、当時の厳かな雰囲気が感じられます。
寅子が通う女学校の外観・内観|北里研究所本館・医学館
主人公・猪爪寅子が通う女学校の外観のシーンでは「北里研究所本館・医学館」が使われています。また、寅子の兄・直道が窓から落ちてきたバケツ水を浴びた場所でもあります。
北里研究所はドイツでロベルト・コッホに師事し、細菌学を研究した北里柴三郎博士が伝染病の研究所として創立したものです。この建物は、博士自身が学んだ研究所にならい、ドイツ・バロック風を基調とし、腰折れ屋根やドーマー窓が特徴です。
細部には幾何学をモチーフとした意匠も見られ、新しい時代のデザインの影響も感じられます。
こちらの階段もまた、ドラマの中で使用されていました。
さらに、この建物はNHK連続テレビ小説「花子とアン」でヒロイン・安東はなが入学した修和女学校の校舎としても建物の外観が使われています。
▼北里研究所本館・医学館の詳細はこちら
寅子の夫・優三が入院していた収容所の病室|日本赤十字社中央病院病棟
4丁目にある「日本赤十字社中央病院病棟」は、寅子の夫・優三が入院していた病院のシーンで使われました。
こちらの建物は昭和49年(1974)に病院を立て直す際に、9棟あるうちの一棟が博物館明治村に移築され、現在も登録有形文化財として展示保存されています。
設計は、赤坂離宮と同じ宮内省技師・片山東熊。ドイツのハイデルベルク大学病院を模したといわれる美しい建物であると同時に、当時の最先端の病院機能を備えています。
東京地方裁判所|名古屋市市政資料館
愛知県名古屋市東区白壁一丁目にある「名古屋市市政資料館」。「旧名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所庁舎」として、1922(大正11)年に建設された建物です。
ドラマでは「東京地方裁判所」として初回放送から何度も登場しており、視聴者にもすっかりお馴染みの建物です。
モデルとなった三淵嘉子さんは、女性で初めて判事に昇進したと同時に名古屋地裁へ赴任。実際にこの場所で働いていたそうです。
ドラマがスタートして以来、人気のフォトスポットになっているのが、岐阜・美濃赤坂産の大理石を贅沢に使用した「中央階段」。ドラマでは、この階段を降りるシーンが印象的に描かれていました。
ネオ・バロック様式が最もよく表れている場所です。
また、館内には当時の法廷を再現した部屋もあり、当時の裁判の様子が再現されています。
法服(ほうふく)と呼ばれる、裁判の際に裁判官や弁護士が身に着けていた服の展示も人気です。
【名古屋市市政資料館】
住所 :〒461-0011名古屋市東区白壁一丁目3番地
開館時間:9:00〜17:00
入館料 :無料
休館日 :月曜日(休日の場合は直後の平日)第3木曜日(休日の場合は第4木曜日)
12月29日から1月3日
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/52-7-4-0-0-0-0-0-0-0.html
日比谷公園|鶴舞公園
市政資料館と同じく、東京地裁前の日比谷公園として初回放送冒頭から登場しているのが「鶴舞公園」の噴水塔と公会堂です。
特に噴水は作中にたびたび登場しており、ドラマの象徴的な存在になっています。この特徴的な噴水は、明治43(1910)年、第10回関西府県連合共進会が、現在の鶴舞公園を会場として開かれた際に、鈴木禎次の設計によって造られたものです。
ローマ様式の噴水塔は完成度が非常に高く、古代ギリシア初期の様式であるドリス式の列柱が用いられています。水は塔の最上部まで汲み上げられ、8本の突起部から自然に流れ落ちます。
【鶴舞公園】
住所 :愛知県名古屋市昭和区鶴舞1丁目1
営業時間:24時間営業
電話番号:052-733-8340
https://tsurumapark.info/
明律大学の廊下&司法省の中廊下|名古屋市役所本庁舎
「名古屋市役所本庁舎」は、寅子が通う明律大学の廊下として、1階北側の廊下と正面階段が使われています。
司法省の中廊下として2階の中央廊下が使われています。
名古屋市役所本庁舎は、西洋的な建築様式に日本的な要素を取り入れた昭和初期の歴史的建造物です。昭和8(1933)年に竣工された3代目の庁舎になります。
国の重要文化財に指定されており、最上層の屋根の先端四方には「名古屋城」との調和を意識した鯱をのせています。
また、多くの映画やドラマでロケ地として使われており、映画ファンにとっての聖地としても知られています。
【名古屋市役所本庁舎】
住所 :愛知県名古屋市中区三の丸3丁目1-1
営業時間:8:45~17:15
電話番号:052-961-1111
https://www.city.nagoya.jp/somu/page/0000062076.html
明治村では「虎に翼」だけでなく、さまざまな映画やドラマのロケ地として使われています。過去のNHK連続テレビ小説で使われたスポットを少しだけご紹介します。
帝国ホテル中央玄関
「帝国ホテル中央玄関」は、NHK連続テレビ小説「まんぷく」で安藤サクラさん演じる主人公の福子が働く「大阪東洋ホテル」のロケ地として使われました。
20世紀建築界の巨匠として名高いフランク・ロイド・ライト(1867-1959)によって設計され、日本の代表的なホテルとして、国内外の政治家や有名人に利用されました。
明治村では、中央玄関部分と建物前面にあった池が移築保存されています。
聖ザビエル天主堂
NHK連続テレビ小説「半分、青い。」では、デートシーンとして「聖ザビエル天主堂」が登場。16世紀に来日したフランシスコ・ザビエルを記念し、京都・河原町三条に建てられたカトリックの教会堂です。
金沢監獄中央看守所・監房
同じくNHK連続テレビ小説「半分、青い。」のデートシーンでは「金沢監獄中央看守所・監房」も使われました。
金沢監獄は明治5(1872)年制定の「監獄則並図式」に沿って明治40(1907)年に建てられた監獄です。八角形の看守所を中心に5つの監房棟が放射状に並んでいるところが大きな特徴といえます。
常設展示では、明治の監獄体験もできます。明治の監獄と現代の刑事施設を比べてみてくださいね。
聖ヨハネ教会堂
NHK連続テレビ小説「エール」では、「聖ヨハネ教会堂」が撮影に使われました。柴咲コウ演じる世界的オペラ歌手・双浦環に出会った教会堂として作中で登場しています。
聖ヨハネ教会堂は、日本聖公会京都五条教会堂として建設された教会堂です。中世ヨーロッパのロマネスク様式を基調に、ゴシックデザインを交えた外観で、正面左右に建てられた高い尖塔が特徴的です。
今回はNHK「連続テレビ小説「虎に翼」のロケ地&明治村のロケ地をご紹介しました。明治村では他にもさまざまなロケ地があります。気になるドラマや映画をぜひチェックしてみてくださいね。
※記事は、2024年7月20日現在になります。
住所 |
愛知県犬山市字内山1番地 |
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営業時間 |
公式Webサイトにてご確認ください |
定休日 |
公式Webサイトにてご確認ください |
電話番号 |
0568-67-0314 |
料金 |
大人 2500円 高校生(要学生証) 1500円 小中学生 700円 |
公式サイトURL |
http://www.meijimura.com/ |
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