記者
メイジノオト編集部
2021/08/14
博物館 明治村内には、ガイドブックにも載っていない隠れた秘密がたくさんあるんです。
今回はその中から明治村5丁目にある白亜のカトリック教会堂「聖ザビエル天主堂」の秘密をご紹介していきます。
明治村5丁目にある白亜のカトリック教会堂「聖ザビエル天主堂」。
近世初頭日本に渡来し、キリスト教の伝道に努めた聖フランシスコ・ザビエルの来京を記念して明治23(1890)年に献堂された建物です。
正面入口の上には直径3.6mを超える大きな薔薇窓が取り付けられ、切妻の頂点には十字架が掲げられています。
近くで見ると、想像以上の大きさです!
明治村移築に先立って昭和42(1967)年に解体した際、保管と保存のために取り外した、当初の薔薇窓です。
聖ザビエル天主堂といえば「薔薇窓」が印象的ですが、実は天井にもある秘密が隠されているんです。
ほの暗い聖堂の中に入ると、壁に埋め込まれた色あざやかなステンドグラスと、天井のヴォールトが目に入ってきます。
天井を見上げてみましょう。
天井をよく見てみると、天井中央リブの交差している部分に「ボス(BOSS)」と呼ばれる要石(キーストーン)が付けられています。(写真の丸の部分)
ボスの装飾は教会堂に貢献した人々にちなんだもの、聖書から引用された故事や人物・聖人・動植物など、さまざまな種類があります。
博物館明治村の聖ザビエル天主堂のヴォールト天井にも、装飾を施したボスが取り付けられています。特に身廊天井の8個のボスが大きく、直径392ミリ、高さ110ミリで鏡餅のような形になっています。
材質は欅(けやき)を使用し、重さはなんと約6キロもあるのだそう!
内陣の祭壇の上に位置するボスは、司教の杖を用いて聖フランシスコ・ザビエルの頭文字FとXを組み合わせたモノグラム。周囲をアカンサスの葉で取り囲んでいます。
2番目に位置するボスは、柘榴(ざくろ)をかたどったものです。
ヨーロッパでは柘榴模様は多産・豊饒を表す瑞祥(ずいしょう)模様です。また、キリスト教においては、柘榴は「再生」や「復活」を意味します。
4番目に位置するボスはミドン司教(注2)の紋章です。
周囲をカーディナルハット(注3)で取り囲んでいますが、緑色で左右6個、合計12個の結び飾りは司教位を表しており、神の計り知れない無償の恵みと、それに伴う使命を表しています。
下部のリボン状の帯にはミドン司教の銘句「PROPTER EUM QUI DILEXITIONS(我々を愛してくれた人のために)」が刻まれています。
※注2:MIDON,Félix-Nicolas-Joseph(1845〜1893)明治4年に来日。横浜・東京・長崎で教導したのち横浜聖心聖堂の主任司祭となり、明治21年大阪司教座に移り、京都聖ザビエル天主堂建設の責任者となる。
※注3:カトリック司教の帽子。結び飾りの色と数によって聖職者の位階をあらわし、赤色で左右15個合計30個の枢機卿(すうききょう)のものが最高位。
そのほかのボスには、蓮花をかたどったもの、教会に貢献された司教とその銘句、紋章などが表わされています。
聖ザビエル天主堂の天井を飾るボスは単なる装飾ばかりではなく、その一つひとつに宣教への祈りを込めたものです。サビエルや宣教に携わった人々の志と熱き思いをひっそりと今に受け継ぐ形なのかもしれません。
聖ザビエル天主堂を訪れたら、天井も見上げてみてくださいね。
所在地 |
〒484-0000 愛知県犬山市内山1 |
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公式サイトURL |
https://www.meijimura.com/sight/%e8%81%96%e3%82%b6%e3%83%93%e3%82%a8%e3%83%ab%e5%a4%a9%e4%b8%bb%e5%a0%82/ |
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