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引越しを好む文豪が暮らした“カタツムリ”の家

幸田露伴住宅「蝸牛庵」

東京都墨田区向島5丁目にあった幸田露伴が借家住まいをしていた住宅です。幸田露伴(1867-1947)は明治を代表する作家で、尾崎紅葉と文壇の人気を二分しました。露伴はたびたび引越しをする人で、新たな借家に移るたびに、住まいを替えるヤドカリをもじって「蝸牛庵(かぎゅうあん / カタツムリの家)」と呼んだといいます。向島の周辺でも3度も引越しをしましたが、その中でこの家は、明治時代に最も長く住んだ家でした。
建物は木造で、一部が2階建てになった構造。寄棟の桟瓦葺きで、外壁は押縁の下見板張りです。

建設年 明治初年(1868)頃
村内所在地 3丁目26番地
旧所在地 東京都墨田区東向島
文化財種別 登録有形文化財
登録年 平成15年(2003)
解体年 昭和44年(1969)
移築年 昭和47年(1972)

目次 - Index -

    鑑賞ポイント

    庇で囲われた開放的な書斎

    この家の建設年代は明らかになっていませんが、明治初年頃とみられます。甲州屋酒店を営んでいた雨宮家の所有で、隠居所として建てられたといいます。

    江戸時代から豪商の寮や下屋敷が多かった土地柄もあり、ゆったりとした自由な配置。玄関、台所、6畳2室の本家屋に小さな2階部分がのり、また10畳の座敷部分がつながります。
    付書院を備えたこの座敷は露伴が書斎として使っていたとされ、吹き放ちの濡れ縁をめぐらし深く突き出た土庇で覆ってます。複雑な間取りを思わせる、変化のある屋根形状も特徴的です。

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    深い土庇のある座敷には水鳥を形どった釘隠しの装飾がつけられ、隅田川以東の地域を指す“墨東”ならではの名残も。

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    露伴は写真が趣味で、1階に赤いガラスをはめた現像室も設けていました。

    偉人ストーリー

    紅露時代の双璧をなす文豪の過ごした家

    幸田露伴は幼少の頃に算術を得意とし、それが高じて電信を学び、電信技手(電話交換手)を務めました。そのかたわら、中国の漢籍やフランス文学を読み漁ったといいます。坪内逍遥の「小説神髄」に触発されて官を辞したのは明治20年(1887)、露伴が21歳の時でした。その翌年に発表した処女作「禅天魔」が尾崎紅葉の目にとまって、文筆の世界に足を踏み入れます。「風流仏」「対髑髏」「五重塔」などを次々に発表し、紅葉とともに“紅露時代”として一世を風靡しました。

    露伴はこの家で明治30年(1897)からの約10年間を過ごし、「太郎坊」「天うつ浪」などを執筆しました。

    幸田露伴「五重塔」より

    其三十四
    (略)此十兵衛の一心かけて建てたものを脆くも破壊るゝ歟のやうに思し召されたか口惜しい、世界に我を慈悲の眼で見て下さるゝ唯一つの神とも佛ともおもふて居た上人様にも、眞底からは我手腕たしかと思はれざりし歟、つくづく頼母しげ無き世間、もう十兵衛の生き甲斐無し、たまたま當時に双なき尊き智識に知られしを、是れ一生の面目とおもふて空に悦びしも眞に果敢無き少時の夢、嵐の風のそよと吹けば丹誠凝らせし彼塔も倒れやせむと疑はるゝとは、ゑゝ腹の立つ、泣きたいやうな、それほど我は腑の無い奴か、恥をも知らぬ奴と見ゆる歟、自己が為たる仕事が恥辱を受けてものめのめ面押拭ふて自己は生きて居るやうな男と我は見らるゝ歟、假令ば彼塔倒れた時生きて居やうか生きたからう歟、ゑゝ口惜い、腹の立つ、お浪、それほど我が鄙しからう歟、鳴呼々々生命も既いらぬ、我が身体にも愛想の盡きた、(略)

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    北里研究所はドイツでロベルト・コッホに師事し、細菌学を研究した北里柴三郎博士が伝染病の研究所として創立したものです。
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    顕微鏡による観察を良好な条件で行えるよう、光の変化が少ない北に面して部屋が設けられていました。

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    芝川又右衛門邸

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    展示室に足を一歩踏み入れると、真っ暗な室内で突然灯台レンズが点灯し、回りだす様は圧巻!
    三島由紀夫の小説『潮騒』の舞台となった伊勢湾に浮かぶ「神島」の灯台で実際に使用されていた回転レンズです。また、明治村に移築されている灯台や、灯台建設に貢献をした「お雇い外国人」らの事績をまとめた資料の展示もご覧いただけます。

    常設展示 明治の燈台

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