館長ごあいさつ
第六代 明治村館長
中川 武Nakagawa Takeshi
第六代 明治村館長
中川 武Nakagawa Takeshi
中川館長は早稲田大学大学院博士課程を修了された後、
比較建築史、文化財建造物の保存修復技術の研究を
ご専門にされています。
大学で教鞭を執るかたわら、
1994年からは日本国政府アンコール遺跡救済チームの団長に就任。
博物館明治村の館長には2014年に就任されました。
- Greetings -
博物館 明治村という世界観とその風景-開村60周年に寄せてー
本年で、博物館 明治村は開村60周年を迎える。昭和40年の開村は、間近に明治100年を控えていたこともあり、明治村には全国から注目が集まり、明治文化運動にふさわしい熱気に包まれたスタートだったと思う。その後の、帝国ホテルライト館の解体、移築問題の一方で、展示建造物の数が増加し、村内のインフラ設備や歴史資料、家具なども充実度を加えてきた。
謎解きゲームなどの催事は来村者のモチベーションに大きな役割を果たしてきたが、極力、明治文化の背景に触れる機会となるように工夫されてきたようだ。来村者の中には、「(トロリー)ポールという名前は後で知ったが、京都市電の屋根の上にのった大きなアンテナのようなものをぐるりと回して方向を変えるのを、明治村で初めて見てびっくりした」という子どもの頃の記憶を話してくれた人がいた。
博物館 明治村は、消滅の危機に瀕した歴史的建造物を、次善の救済策として移築し、復原修理の上、野外で保存展示することを本務としている。通常の美術館・博物館が直面してきた困難に加えて、明治村では、常に展示建造物の文化財としての修理という課題がついて回る。けれども、阿川村長を迎えた50周年を契機とした心機一転の気運と、文化財建物の修理を通して入村者もスタッフも「歴史と自然」に直に立ち向かうという明治村ならではの風景を明治村文化の基調にするという世界観のもと、新しい一歩を踏み出すことができていた。残念ながら、そこへコロナ禍である。大型修理計画も練り直さざるを得なくなった。
世界はますますIT技術と抽象的な画像文化が進展していくだろう。だからこそ人間とわたし達の世界から、本物の「歴史と自然」が失われてはいけない。明治の、そして日本の歴史と自然と格闘し、そこに育まれた明治の文化を体現する明治村の風景に誇りをもつという、明治村の世界観をもとに更なる一歩を踏み出していきたい。
博物館 明治村 館長 中川 武
中川 武氏 プロフィール
1944(昭和19)年5月生
工学博士 早稲田大学名誉教授
専門:アジア、日本を中心とした建築史。
略歴
1984年 | 早稲田大学理工学部 教授 |
1994年 | 日本国政府アンコール遺跡救済チーム(JSA) 団長 |
1995年 | フエ・ユネスコ会議 国際専門委員 (現地復興の国際的リーダーとして活動) |
1998年 | カンボジア王国よりJSA団長の活動に対して 「サハメトレイ王国勲章」受章 |
2015年 | 早稲田大学定年退職 名誉教授就任 |
主な研究・成果
『世界宗教建築事典』
『アンコールの神々BYON』
『数寄屋の森』
『建築様式の歴史と表現:
いま、日本建築を劇的に』
『日本の家』『日本の古典建築』
その他
主な研究テーマは、「日本建築の技術と表現」
「建築研究及び復原、発掘調査」
「東南アジア文化財建造物の調査研究及び保存修復」。
明治村の歴代館長

一代
谷口 吉郎
1965年3月~1979年2月

二代
関野 克
1979年6月~1991年6月

三代
村松 貞次郎
1991年6月~1997年8月

四代
飯田 喜四郎
1997年12月~2010年3月

五代
鈴木 博之
2010年4月~2014年2月