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京都中井酒造
京都市の御幸町通に建てられた造り酒屋。中井家は、江戸時代の天明7年(1787)に河原町二条で商売を始めました。その後、享和3年(1803)に御幸町通に移転したものの、当時の建物は元治元年(1864)に長州藩と会津・薩摩両藩が衝突した「禁門の変」で焼失。後に再建されたものが、この建物です。
木造2階建ての桟瓦葺き。京都独特の低い軒にゆるい勾配のむくり屋根をもち、漆喰塗りの壁には虫籠(むしこ)窓が開けられています。出入口は、酒屋格子をはめた無双(むそう)窓。間口が狭く奥行きの深い町屋建築で、中央に土間が通されています。土間の左側が座敷で住居部分、右側の作業場は小屋裏までの吹き抜けになっており、縦横の小屋組が目を引きます。
建設年 | 明治3年(1870) |
村内所在地 | 2丁目19番地 |
旧所在地 | 京都市中京区御幸町通二条 |
文化財種別 | 登録有形文化財 |
登録年 | 平成15年(2003) |
解体年 | 昭和46年(1971) |
移築年 | 平成5年(1993) |
目次 - Index -
鑑賞ポイント
ポイント01|典型的な京町屋の中に広がる作業空間
室内は、入口から左が通り土間と住まいの部分になっており、手前から座敷、帳場、台所。通り土間の右側は、吹き抜けの酒造り作業場。手前から米俵の置場、洗米所、蒸し竈(かまど)が置かれています。
台所に掘られた地下部分は麹室(こうじむろ)。地下は温度変化が少なく、麹菌の発酵に適しているためでした。2階には、物入れや蔵人(くろうど)の寝所がありました。
ポイント02|湾曲した梁が組み上げられた空間の迫力
大きく湾曲した天然丸太を生かし、小屋束と貫が組み上げられる小屋裏があらわになる吹き抜けは圧巻。
大梁に造りつけられた滑車を使い、釜の蓋を上げ下げできる仕組みになっていました。
ポイント03|再現された職人の作業場
室内は通り土間の左が居室、右には米俵などの穀物置場、井戸と洗米所、レンガ造りの蒸し竈(かまど)など、当時の酒造りの様子を示す遺構が見られます。
ここでは、酒造りの行程のうち、新米貯蔵・洗米・米蒸し・麹(こうじ)作りまでを行い、仕込みや貯蔵などは奥の別棟で行われました。
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