記者
ライター山村 咲木
2021/08/13
「吾輩は猫である」「坊っちゃん」「こころ」など……。数多くの傑作を生み出し、明治・大正時代に活躍した作家・夏目漱石。
小説家として有名な漱石ですが、実はアートに関心があり、絵が好きだったことを知っていますか?
カラフルで美しい、漱石のアートな世界をとくとご覧あれ!
江戸時代末期に生まれ、明治〜大正時代にかけて活躍した日本を代表する作家の一人。
小説が教科書の題材に使用されたり、明治の文豪として千円札のモデルになるなど、小説を読んだことがない人も「夏目漱石」という名前だけは知っているはず。彼の小説は、いまだに世界中の人々から愛され続けています。
ここからは「博物館 明治村」所蔵の夏目漱石 初版本の中から、素敵なデザインをご紹介していきましょう!
「四篇」の装丁
「草合」の装丁
ご覧ください、このカラフルなデザインを!漱石の本は、どれも驚くほどに美しい装丁のものばかり。あまりの美しさに、装丁デザインのファンになる人も多いのではないでしょうか。
絵に対して興味・関心が強く、自らも絵を描いていた漱石。自分で描いた絵葉書を、友人や弟子などに送っていたのだとか。
「吾輩は猫である」上編の装丁
これは漱石の本の中に登場する挿絵のひとつ。
漱石の処女作である「吾輩は猫である」に登場する主人公の猫が、客の飲み残したビールを舐めてしまう重要な場面が描かれています。デザインに対するこだわりが強い漱石は、画家と何度もやりとりを重ね、気に入らなければその画家を辞めさせることもあったそう。
「吾輩は猫である」中編の装丁
「吾輩は猫である」下編の装丁
「吾輩は猫である」は上・中・下の3巻で構成されており、それぞれ異なる装丁を楽しむことができます。
当時流行していた「アール・ヌーヴォー」が頻繁に取り入れられており、花や植物などのモチーフや曲線が活かされたデザインが多く見えます。
「虞美人草」の装丁
華麗で彩り豊かな漱石の装丁は、今見ても「かわいい!」と思うデザイン。こんなに綺麗な装丁だと、ついつい手にとって眺めたくなりますね。
「こころ」の装丁
代表作のひとつ「こころ」の装丁は、漱石自らが行った特別な一冊。箱・表紙・印などすべてを漱石自身が手掛けた作品は、後にも先にも「こころ」だけなのです。
「博物館 明治村」には、漱石が熊本で教師をしていたときの教え子・橋口貢(漱石の本の装丁を数多く手がけた画家・橋口五葉の兄)に送った手紙が残されています。
こちらも常設展示していないため、なかなかお目にかかることのできないレアな手紙。
「こころ」の装丁を自分自身で手がけたことや表紙に橋口が贈った拓本を応用して用いていたことに対してのお礼などが綴られています。また「こころ」の出来に満足する様子など、漱石の装丁にかける想いや自信が垣間見れる手紙となっています。
「博物館 明治村」 では、夏目漱石が教師の傍らで小説家として活動をはじめたころに家族と住んでいた「森鷗外・夏目漱石住宅」を見学することができます。
こちらの住宅、以前は森鷗外も住んでいたそう。有名な文豪がここで創作活動を行っていたことを想像すると、なんだか足を踏み入れるのもドキドキしちゃいます!
中に入ると、「吾輩は猫である」を執筆した書斎が。たくさんの本や筆が並べられており、当時のままを忠実に再現しています。ここでは、漱石になりきって写真撮影をすることも可能です!
「吾輩は猫である」にちなんで、至るところに小説のモデルととなった「名もなき猫」が!
家の中には、掃き出し口として付けられていた小さな引き戸が何箇所もあります。ここから猫が出入りする姿をみて「吾輩は猫である」に登場する猫をイメージした、ともいわれているそう。
漱石の傍らで猫がちょこんと座っている姿は、なんともかわいすぎる……!
猫目線で家の中を巡ってみるのもおすすめ。「吾輩は猫である」に登場する猫になった気分で、漱石の家を探索することができますよ!
最後の作品「明暗」の下書き原稿(複製)を発見!漱石自身が執筆した文字を見ることができるのは、なんともいえない特別感。漱石専用の原稿用紙のデザインからも、アートな一面が垣間みれますね。
昔ながらの縁側も、風情があって素敵ですね。
明治の文豪・夏目漱石の魅力がたっぷり詰まった「森鷗外・夏目漱石住宅」。
漱石を知ることができるのと同時に、明治時代の日本家屋ならではの風情あふれる空間も体験できます。「博物館 明治村」へ訪れた際は、ぜひ足を運んでみてくださいね。
「博物館 明治村」では、夏目漱石オリジナルグッズを販売しています。
「吾輩は猫である」のクリアファイルや装丁があしらわれたノートに手ぬぐい、缶バッジなど……。漱石ワールドを堪能できるグッズが盛りだくさん!
明治村オリジナル「吾輩は猫である」の下敷きも。かなりレアなアイテムにも出会えちゃいます。
漱石のデザインセンスあふれるグッズも合わせて、来村の記念にぜひチェックしてみてくださいね。素敵な一品に巡り会えるかも……!
出典:「博物館 明治村」所蔵資料
所在地 |
〒484-0000 愛知県犬山市内山1 |
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公式サイトURL |
https://www.meijimura.com/sight/%e6%a3%ae%e9%b4%8e%e5%a4%96%e3%83%bb%e5%a4%8f%e7%9b%ae%e6%bc%b1%e7%9f%b3%e4%bd%8f%e5%ae%85/ |
記者
ライター山村 咲木
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