私のガイド日記

京都七條
巡査派出所日記
(前編)
2007年7月
井村吉佑


 梅雨に入って4日目、早朝からしとしと雨の月曜日。野外博物館である明治村にとって最悪の条件が重なった今日は入村者が少ないだろうなと思いつつ、本官の駐在場所である京都七條巡査派出所の席に着き、窓越しに前の広場をボンヤリと眺めていた。ところが、予想に反して学生らしき若者と70代と思しき高齢者の団体(約30名)がやって来るではないか。

 派出所から出て「こんにちは」と敬礼して出迎える。
 若者から「かっこいい」と声がかかる。悪い気はしない、「ありがとうございます。」と再度敬礼。
 高齢者の一人から「お巡りさんはいくつ?」と尋ねられる。
 「本官は明治41年4月生まれの申年で今年99歳になりました」と答える。
 「えっー、本当?うちのバァーチャンは93歳だけど、干支は合ってるわ」
 小生「嘘です。そんな歳には見えないでしょう」と答える。高齢婦人日く「そうでしょう、どう見ても明治には見えん、大正の終わりでしょう」。
 よく言うよ本官はアンタよりズッと若い!!と叫びたいが口には出さず敬礼する。そして派出所前で仲良く記念写真に納まる。
 学生達は看護学校に通っているとのこと。清水医院と北里研究所を見てレポートを提出しなければならないと急いで目的物件へ走り去って行った。近頃の若者にしてはまじめそうな子達だ。
 次に派出所前を通りかかったのは高年の男性2人と女性1人の3人グループ。長野県から来たとのこと。女性の父親が巡査だったそうで、サーベルに思い出があるという。子供の頃サーベルに触って、こっぴどく叱られた記憶が今も鮮明に残っているらしい。それ以来サーベルが懐かしいが怖くて触れないとのこと。本官は怒らないから気が済むまで存分に触って下さいと言ったが、「いや、見せていただくだけで結構です」と暫し眺め、3丁目へと向かわれた。

 その間も雨は降ったり止んだりである。派出所前を往来する人に「敬礼」して、どちらからお越しくださいましたと訊ね、その方面ゆかりの物件があれば場所を教えたり、建物ガイドの時間を案内したり、写真のモデルになったりと、雨の月曜日にしては結構忙しい。

後編へ続く)



◆見学ガイド
 京都七條巡査派出所 (2丁目23番地)

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